山下翔大選手 インタビュー
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【プロフィール】山下翔大(やましたしょうた)水戸ホーリーホック MF背番号53 ●2008年2月29日生まれ [出身地] 愛知県名古屋市 [身長/体重] 173cm/73kg [血液型] O [利き足] 右 [加入歴] 1年目 [経歴] Nagoya.s.s→名古屋高校サッカー部
挫折を力に変えて――走り続けるスピードスター 山下翔大
些細なきっかけで始まったサッカー人生
今季、名古屋高校から水戸ホーリーホックに加入したMF山下翔大選手。
爆発的なスピードと身体能力を活かした鋭いドリブル突破、そして相手の意表を突くカットインからのシュートを武器とする高卒ルーキーです。
愛知県名古屋市出身の山下選手がサッカーを始めたのは、小学2年生の時。
「友達がサッカースクールの体験に行くというので、じゃあ自分も行ってみようかな、と軽い気持ちでついて行ったんです。それまではスイミングスクールに通っていて、他にスポーツはやっていませんでした」
軽い気持ちで始めたサッカーでしたが、すぐにその魅力に取り憑かれ、地元クラブのNagoya.s.sに入団します。
「最初はゴールキーパーにも興味があったんですが、気づけばいつの間にかフィールドプレーヤーになっていましたね。足がそこそこ速くて、豊富な運動量で何度もオーバーラップを繰り返すプレースタイルでした」
チームのために献身的にピッチを駆け回る山下選手のプレーは地域の指導者の目に留まり、小学校高学年では現在のチームメイト・島谷義進選手とともに名古屋市のトレセンにも選出されました。
「暗黒期」中学3年間の葛藤
順調な滑り出しに見えたサッカー人生でしたが、中学進学とともに大きな試練に直面します。
山下選手曰く、中学時代は「暗黒期」。3年間すべてをBチームで過ごすという、暗中模索の厳しい時間でした。
「中学に入ると、周りの選手たちがどんどん成長期に入って体が大きくなっていくんですが、自分はなかなか背が伸びなくて。かなり体格差が出てしまい、それまで武器にしていたスピードも、フィジカルの差で通用しなくなっていきました」
さらにコロナ禍による活動制限や、思うようにいかないプレー、指導者との関係性の悩みも重なり、次第にサッカーから距離を置くようになります。
「ほぼノーチャンスな3年間。練習もスタート直前に行って、全然準備もしていなくて。正直、『もう、サッカーはいいかな…』と諦めていた時期もありました」
その一方で、元々得意だった勉強では非凡な才能を発揮。成績はなんとオール5を記録し、進路の選択肢を広げていきました。
名古屋高校で訪れた転機と成長
進学先に選んだのは、第一志望だった文武両道の進学校・名古屋高校。
「練習参加に行った際、コーチから高評価をいただけたことも後押しになりましたが、最初は設備が整っているキレイな私立で『楽しみながらサッカーができればいいな』くらいの気持ちでしたね」と振り返る山下選手。
実際は愛知県内でも優勝を狙える強豪として知られる同校。山下選手は一番下のカテゴリーでスタートとなりますが、ここで状況を変える変化が現れます。それは、待ち望んでいた成長期の到来と、徹底したフィジカルトレーニングによる身体能力の飛躍的な向上でした。
「体が大きくなるにつれてスピードもさらに上がり、フィジカルでも負けなくなりました」
名古屋高校は筋トレに力を入れており、オフ前日は徹底的に追い込むことができたといい、身体能力が上がったことによって、自身が持っていたスピードという武器を生かせるようになります。
高校1年夏にはBチームへ昇格。先輩たちが挑んだ選手権ベスト8の試合をスタンドから見つめ、「あの舞台に立ちたい」と自主練習に取り組み続けました。
やがて国体選手にも選ばれると、高校1年の終わり頃にはAチームへ昇格。右サイドバック、サイドハーフ、FWなど複数ポジションを経験することで、ゲームでの冷静な判断力も磨かれます。左サイドハーフにコンバート後は、得点やアシストに絡むシーンが激増。通称“裏選手権”と呼ばれるニューバランスカップでの活躍や、全国の強豪との対戦で手応えを確かなものにしていきました。
特に大きな自信となったのが、昨季史上初の高校3冠を達成したシーズンの、鹿島アントラーズユースとの対戦でした。
「プレミアリーグを戦う相手に対しても、自分のドリブルやパスが通用し、アシストを決めることができた。この経験で、『自分もトップレベルで戦えるんだ』という確信を得ました」
そして高校3年の5月。山下選手のプレーがリーグ戦の視察に来ていた水戸ホーリーホックのスカウトの目に留まり、2度の練習参加を経て正式なオファーが届きました。
「人生は本当に何が起きるかわからないです」
中学時代にサッカーを諦めかけ、大学進学を現実的な目標にしていた山下選手。まさに運命に導かれるかのように、プロの世界へ飛び込んだのでした。