家族の絆によって繋がったプロへの道
父親は野球、母親は器械体操、5歳上の兄はサッカー。そんなスポーツ一家に生まれた髙岸憲伸選手。2022年シーズンからホーリーホックに加入した期待の大卒ルーキーです。 父親が転勤族だったため、東京で生まれてすぐに三重へ移住。兄の影響を受けてサッカーを始め、街クラブに通う日々を過ごしていました。 小学3年から都内に戻ると、Jクラブや街クラブのスクールを掛け持ちし、川崎フロンターレのセレクションに見事合格。小学6年の時には全国優勝を果たし、続いてスペインの名門クラブ「レアル・マドリード」のホームスタジアムで開かれた世界大会「ダノンカップ」で9位を獲得。 「初の海外遠征では、レアルの試合と同じような選手入場を体験したり、他国の選手とお土産を交換したり、異文化交流もできました。スペインは町にサッカー文化が深く根付いていることや、世界大会に出場することでようやくスパイクを履けた国の選手の話など、日本と他国とのギャップを肌で感じました。サッカー以外にも様々な経験ができた大会でしたね」
そんな華々しい小学時代から一転、引き続きフロンターレの下部組織で過ごした中学時代は苦難の日々が待ち受けていました。スタメン確約の中心選手ではなく、他の選手との体格差もあり、なかなか試合に絡めないもどかしい時期。そんな中で抱いたのは「このままユースに上がってもプロにはなれない」という危機感だったと言います。 そこで進むべき道を模索した髙岸選手。ユースからプロにならず、大学サッカーを選択した現日本代表の三笘薫選手(イングランド1部ブライトン所属)や、J3・テゲバジャーロ宮崎の岡田優希選手など、クラブの先輩たちから色々なアドバイスを受け、全クラブから注目を集められる高校サッカーへ進むことを決意。そして、恩師から薦められた石川県の強豪・星稜高校の門を叩きました。
しかし名門校の選手層は厚く、自主練習でひたすら個の能力を伸ばすという厳しい現実に直面。 一番アピールしたい2年生次には怪我で長期離脱を余儀なくされ「運にも見放された…」と窮地に陥ります。苦悩を重ねサッカー人生に区切りを付けようとしましたが、それを踏み止まらせたのは家族の支えでした。 「家族に泣きながら何回も電話しましたが、いつも手厚いサポートをしてくれた母は『せっかく石川に行ったのだから、今を楽しんで』、常に僕の決断を尊重してくれる父は『辞めてもいいし、続けてもいい。自分の判断に任せるよ』と励まし、兄は『どうやったら育ててくれた両親に感謝を伝えられるか考えろ』と背中を押してくれました。色々と踏まえたうえで『今の環境でサッカーを楽しんでみよう』という気持ちになったんです」
卒業後は進学ではなく、海外での挑戦を望んでいた髙岸選手。一方「様々な選択肢を持ったうえで進む道を判断して欲しい」と、母親自ら関東大学サッカーの試合に足を運んで撮影したビデオが次々と寮に届けられました。 最初は「頼んでもないのに…」と不満をあらわにしていた髙岸選手でしたが、母親の熱意に押されて徐々に映像に目を通すように。そこで、自身のスタイルに合致する中央大学のサッカーに心動かされ、入部を決断します。そして、大学サッカーで見事ブレイク!家族の絆によってサッカーの道を繋いだ末に、水戸ホーリーホックで念願のプロ選手となったのでした。
オフはゴルフ天国・茨城を満喫!アウトドアにも興味津々!
茨城の自然豊かな環境を気に入っているという髙岸選手。 「実家は都内でも緑が多いと言われている世田谷区。その点で似た環境の茨城は、海も山もあり、アツマーレでキレイな空気も吸えるし、とても過ごしやすいです。幼少期に三重の田んぼで落ちたこともあるぐらい自然の中での生活に慣れ親しんでいるので、この環境で過ごせるのはありがたいなと感じています」 趣味はゴルフで、オフは家族とともに「水戸・ゴルフ・クラブ」など、水戸近郊のゴルフ場でリフレッシュする機会が多いそうです。「茨城のゴルフ場は、都内の練習場と同じぐらいの料金でコースを回れる所も多く、安価の割にキレイな施設が多い印象です。チームメイトでは中山開帆選手、音泉選手、木下選手、三國選手(FC岐阜へ期限付き移籍中)と行きましたけれども、みんな上手ですよ」 また、笠間市PR大使も務める髙岸選手が今後挑戦してみたいのは、注目の施設「エトワ笠間」でのグランピング体験。大洗でのキャンプなどでも、家族や友人とともにアウトドアなオフタイムを過ごす計画を立てているそうです。
目の前の結果に一喜一憂しない。サッカーを楽しむことに集中しよう
さまざまな苦境を乗り越え、プロとなった髙岸選手が未来の後輩たちに伝えたいこと。それは、目の前の結果に一喜一憂せず、サッカーを楽しむことに集中すること。 「学生時代は正直、目の前の結果に左右されてしまいました。でも『そこで試合に出られていないから、プロになれない』『ならば、サッカーを辞めてしまおう』と一喜一憂する必要はありません。そして、小中高の時代に試合に出ているかどうかは、プロになる・ならないには関係ない。僕は高校時代もほとんど試合に出ていませんし、有名な選手でも中心選手でもありませんでした。そういう選手でもサッカーを楽しむことに意識を当てて、毎日取り組んでいたら、自然とプロの道が近づいてきました」 そして技術面では、フロンターレジュニア時代の独特なトレーニング方法を紹介。 「小学3、4年の頃、川崎のアカデミーではパス禁止でした。ゴールキーパーでさえ、ボールを落としてひたすらドリブルするんです。小学5、6年生になって、止めて蹴ることをトレーニングし、何センチ、何ミリのところまでこだわりました。それは今でも活きていますし、プロの世界に入っても絶対に必要な部分です」と基礎技術の大切さを説いています。 ゴール前で相手が思いも寄らないプレーを見せるのが持ち味。 リーグ終盤に差し掛かり、成長著しい大卒ルーキーの一人として、チーム内での存在感も高まっています。後半戦のキーマンとして期待される髙岸選手をケーズデンキスタジアム水戸で応援しましょう!
★最新の試合情報は水戸ホーリーホック公式サイトをご確認ください https://www.mito-hollyhock.net/ 【会場】ケーズデンキスタジアム水戸(水戸市小吹町2058-1 「水戸IC」より約10分)
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