「時を超えて咲き誇る古刹」長勝寺で桜と歴史をを訪ねる春歩き
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江戸時代から水運の要衝として栄え、文人墨客にも愛されてきた情緒豊かな水郷のまち・潮来市。
春の陽気に誘われて街を歩けば、ひときわ凛とした空気をまとった名刹・長勝寺が姿を現します。鎌倉時代から紡がれてきた歴史に思いを馳せながら、桜の季節を満喫してみませんか。(2026年4月時点の情報です)
今回お話いただいた方はこちら
海雲山 長勝寺
住職 谷 明生さん
1970年生まれ。鎌倉時代から続く潮来の古刹・長勝寺を守り続ける第16世住職。なめがた地区保護司や千葉県教誨師会理事として地域社会の現場にも深く関わっています。
源頼朝公が祈りを捧げた八百四十年の歴史
鎌倉幕府を開いた源頼朝公によって、1185年(文治元年)に創建されたと伝わる臨済宗の古刹・長勝寺。
「頼朝公が〝長く勝ち続けること〞を祈願して命名されたのではないかと考えています。山号の『海雲山』は地域性もありますが、『開運』に通じる意味合いも込められているのではないでしょうか。鹿島アントラーズのサポーターの方々が試合前に参拝されることも多いですよ」と住職の谷明生さんは語ります。
北条高時公が寄進した国の重要文化財・銅鐘は、同寺を象徴する存在です。中国の禅僧・清拙正澄による銘文には、潮来の風景が「故郷・蘇州に似ている」と記され、八百年以上前からこの地が風光明媚であったことを今に伝えています。戦前には国宝にも指定されていたほどで、その資料的価値は計り知れません。
国重要文化財である銅鐘は除夜の鐘つきで重厚な音色を響かせます
徳川光圀公が再興した祈りの空間
江戸時代に入ると、水戸藩二代藩主・徳川光圀公(水戸黄門)によって寺は再興されました。茨城県の重要文化財である仏殿に足を踏み入れると、光圀公自らが台座に書付を残したとされる摩訶迦葉尊者像が迎えてくれます。
「首だけが転がっていたものを光圀公が見つけ、胴体を新たに作らせて安置した」という逸話を持つこの像は、どこか穏やかで、見る者の心をそっと解きほぐすような微笑みを湛えています。
桃山時代の建立とされる山門は、雄大な唐様建築の遺構として知られ、訪れる人々の目を楽しませています。雅な門構えは、絶好のフォトスポットとしても人気です。
鎌倉時代の息吹を伝え、悠久の歴史を刻む建造物が並ぶ長勝寺
桜のトンネルと受け継がれる感謝の心
例年3月中旬を過ぎる頃、山門から続く参道は約20本のソメイヨシノがつくる桜のトンネルに包まれます。
令和元年房総半島台風で多くの古木が被害を受けましたが、八重桜や枝垂れ桜とともに大切に守り継がれた枝先には、今年も力強い蕾が宿っています。
ソメイヨシノの次は、山門近くのシダレザクラが見頃に
花見の時期には毎年「茶筅供養」が行われます。消耗品である茶筅を捨てるのではなく、感謝を込めて焚き上げるこの法要は、長勝寺の精神性を象徴する行事のひとつ。桜が舞う中、着物姿の人々が行き交う光景は、まるで歴史絵巻のような美しさです。
「歴史の教科書が書き換わっても、この場所に残る鐘の音や仏像の面持ちは変わりません。桜を愛でるだけでなく、その奥にある物語をぜひ肌で感じてみてください」と谷さんは語ります。
お釈迦様の誕生を祝う4月8日の「花まつり」の頃には、桜からバトンを受け取った満開の椿も境内を彩ります。潮来が誇る歴史の重みと、移ろう季節の美しさを探しに、長勝寺を訪ねてみませんか。
■お問合せ
海雲山 長勝寺
【住所】茨城県潮来市潮来428
【電話】0299-62-3808
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