茨城県つくば市で毎年8月下旬に開催されるつくば市最大のイベント「まつりつくば」。
つくばエクスプレス つくば駅周辺に複数の会場が設けられ、つくば自慢のグルメが勢ぞろいする出店や、演奏やダンスが披露されるステージなど、多彩なイベントが開催されます。
(取材協力・写真提供:ねぶた運行実行委員会)
まつりつくば2024
日付:2024年8月24日(土)~8月25日(日)
時間:両日12:00~21:00
場所:つくば駅周辺
ねぶたパレード
時間:両日17:00~20:30
場所:土浦学園線
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【問合せ先】まつりつくば ねぶた事務局
【住所】つくば市竹園1丁目5-2
【TEL】090-8856-0298
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つくばねぶたパレードの様子
つくばねぶたパレード グランドフィナーレの様子
また、まつりつくば内で開催される「つくばねぶたパレード」は今年で26回目。青森県に次いで国内2番目の規模を誇り、『跳人(はねと)』と呼ばれる踊り手達と共に、『曳き手(ひきて)』と呼ばれる山車を引く人々が市内を賑やかに練り歩き、夜空に輝く美しい灯篭と、熱気あふれる踊り手たちのパフォーマンスは、見る人々を魅了します。
そんなつくばの夏の風物詩でもある「つくばねぶたパレード」を運営するのは「ねぶた運行実行委員会」。(社)つくば青年会議所に所属する全82人で構成され、ねぶた制作の企画から当日の運行まで全てを担当しています。今回はねぶた運行実行委員会の方々に取材をし、「つくばねぶたパレード」の歴史と裏側をお聞きしました。
(写真右)つくば青年会議所理事長 大林芳博さん(写真左)ねぶた運行実行委員会実行委員長 塙裕哉さん
勇壮な山車灯籠が響き渡る太鼓やお囃子とともに街を練り歩き、力強く厄災を祓うつくばのねぶた。今や伝統行事として定着したねぶたですが、市内で初運行されたのは1997年のこと。
かつて科学万博も開かれた研究学園都市のつくば市は、人口増加率全国1位となるほど急激に発展していく一方で、地域の課題になっていたのが既存の住民と移住組の交流の少なさ。その現状に一肌脱いだのが、地域貢献に励むつくば青年会議所のメンバーでした。新旧住民の融合を図るため、全国に誇る新たな祭りを誕生させようと計画します。
第17回まつりつくばにて初の小ねぶた運航(1997年撮影)
狙いを定めたのは、青森県のねぶた。それは全国各地の祭りで披露される神輿にはないオリジナリティーや観衆の目を釘付けにする迫力があること、3車線ある土浦学園線で幅9mの大ねぶたが運行できる環境があったことが理由でした。
そして初代実行委員長の大里喜彦さんらが、青森県の青年会議所を通じて、青森ねぶた祭保存会に辛抱強く何回も交渉を重ねた結果、華やかなねぶたがつくばの街を彩り、次第につくば市民の絆を結んでいったのです。
土浦学園線が通行止めにしたパレードが初開催され大ねぶた1基が初運行される(1998年撮影)
2003年に運行された大ねぶた
例年、8月下旬の二日間、夕方から夜にかけて土浦学園線で行われるパレードは、二の宮太鼓會の和太鼓や祭り囃子が鳴り響く中、筑波大学や流通経済大学、地元企業、一般のボランティアの協力で約二百人の曳き手と跳人が盛り上げます。
「ラッセーラー、ラッセーラー」のお囃子に合わせて飛び跳ねる「跳人」
「曳き手」は公式HPから一般参加者を募集中
本場の青森のねぶたは毎年制作されますが、補修しながら繰り返し披露するのがつくば流。ねぶた師の北村蓮明さんと春一さん親子の監修のもと、これまで平将門や加藤清正などの勇ましい武将を模した人形型ねぶた、ガマやフクロウなどつくばにちなんだモチーフの色鮮やかなバルーンねぶたが制作され、現在は大ねぶた5基、小ねぶた4基が保存されています。
市政20周年を記念し、多彩なイベントが開かれた第27回まつりつくばでオリジナルのバルーンねぶたが初運行(2020年撮影)
純白のねぶたに墨で書き分け、迫力を醸し出す
毎年7月中旬頃から大清水公園内に小屋が建てられ、7月下旬に阿見町内にある倉庫からトラックでねぶたを移動。8月中旬からねぶた師や実行委員会による補修、組み立てがまつり当日まで連日行われた末、ようやくお披露目となります。
ねぶたは阿見町の倉庫から運搬し、大清水公園内の小屋で台車を組み立てる
今年のテーマは「参加型」。色付けや紙貼りの工程を参加できるワークショップも実施し、地域一丸となって作り上げるのも、ねぶたの魅力です。
ねぶたの骨久美恵の紙貼りや色付けの伝統体験も実施
ねぶた運行実行委員長の塙裕哉さんは「ねぶたがどういう風に出来上がるのか、目にする機会はなかなかないもの。『骨組みって、こんな風になってるんだ』とか色んな気付きがあると思うんです。そうすると、『あそこはパパと二人で塗ったところだね』とこれまでとは違った見方で楽しめるのではないでしょうか。祭り当日だけでなく、過程も含めて一緒にねぶたを楽しみましょう!」と参加を呼びかけています。
新型コロナの影響で3年振りとなった2022年の「THE祭りつくばねぶたパレード」で、「地域の人々の喜ぶ顔が、我々の何よりの原動力であり、ねぶたの必要性を再認識しました」と語るつくば青年会議所理事長の大林芳博さん。
資金集めから同日の運行まで全てボランティアで実施しているねぶた運行実行委員会のメンバー
今年は初のクラウドファンディングに挑戦し、ファンを見える化するとともに、例年以上に実行委員の総力を挙げて、ねぶたの運行に熱量を注いでいくと言います。
また、関東最大のねぶたパレードを国内だけでなく海外でもPRし、多様性の街・つくばにインバウンド客を呼び込もうと今後の展開を見据えています。
つくばの街と人々の活力を生み出すねぶた運行実行委員会。伝統と革新の融合を象徴するねぶたを未来へと繋げていきます。