ホーム最終戦&GK本間幸司選手引退セレモニーレポート~後編~
(前編はこちら) GK本間幸司選手引退セレモニー 懐かしい面々との再会
最終節・モンテディオ山形戦後に行われたGK本間幸司選手引退セレモニーでは、現在は東京国際大学サッカー部監督である前田秀樹元監督をはじめ、大宮アルディージャの笠原昂史選手、COEDO KAWAGOE F.Cの三島康平選手、水戸啓明高サッカー部コーチの金久保順さんなどのOBたちが約50人も集結。 OBたちが26年間の勇姿がプリントされた横断幕を持って花道を作ると、主役の本間選手は懐かしい面々との再会に驚きながらも嬉しそうな表情を浮かべて登場しました。
大型ビジョンでは、本間選手のこれまでの軌跡を辿るプレー集のほか、"野人"の愛称で知られる岡野雅行さん、同郷出身の鈴木隆行さん、田中マルクス闘莉王さん、小野伸二さんの元チームメイト達、そして“キングカズ”こと三浦知良選手(JFL・アトレチコ鈴鹿クラブ所属)からねぎらいのメッセージが寄せられました。
自身を振り返る本間選手
印象に残っている試合は
東日本大震災直後の徳島ヴォルティス戦
本間選手は事前に書き記した手紙などは用意せず、その瞬間に湧き上がる想いも加えながら、自身が過ごした油縄子小学校、多賀中学校、水戸短大付属高校(現・水戸啓明高校)時代のエピソードや、高卒で入団した浦和では、厳しいプロの世界で自身のシュートストップが通用せず、ストレスで円形脱毛症にも悩まされたこと、唯一、引退を相談した岡野さんやトレーナーの野崎信行さん(現FC岐阜コンディショニングアドバイザー)との出会いを振り返ります。
苦しい中、当時JFLに所属していた水戸に移籍すると、土のグラウンドで泥や血だらけになって懸命にプレーしている仲間の姿に心を打たれた本間選手。一年間、仲間とともに本気でプレーしたところ、チームはJ2に昇格しました。 そして、Jリーグのファーストゲーム。対戦相手はなんと自身が高校卒業後3年間在籍していた浦和レッズでした。 「不思議な縁というか、サッカーの神様がいるんじゃないかと感じました」と感慨深そうに語ります。
プロ人生で最も印象深い試合の一つは、東日本大震災後で中断されていたJリーグが再開した直後の2011年4月23日徳島ヴォルティス戦。水戸ホーリーホックはこの試合で劇的逆転勝利を飾りました。 「まだ震災の真っ只中で、こんな中でサッカーをやっていいのか?と思いましたが、少しでも地域の明るいニュースを届けて笑顔を取り戻さないといけないという、自分よりも大事なもののために戦い、素晴らしい結果を出せたのは、ホーリーホックにとっても大きな出来事でした」と振り返ります。
クラブ初代社長、家族、仲間や恩師
そしてサポーターの存在への感謝
Jリーグ加入後も苦しい時期の連続だったという本間選手。それでも踏ん張って来られたのは、クラブを創設した石山徹初代社長、家族、仲間や恩師、そしてサポーターの存在があったからだと語ります。 「いつも変わらぬ声援をくれたサポーター達は同じクラブを愛する者同士で、絆をすごく感じています。皆さんに自慢してもらえる、誇ってもらえるクラブにするのが目標。スポンサーの皆様もともに、これからも一緒にホーリーホックを作っていきましょう」と呼びかけました。
現役時代は達成できなかったJ1の舞台に立つ夢。 「ここからが水戸ホーリーホックとして本当の勝負。近い将来、必ず一緒にJ1へ行きます」と今後もクラブ、サポーターとともに昇格を目指すことを約束しました。 そして、「何も成し遂げていないし、苦しいことが多かったけれど、それでもサッカーって最高だなって言えます」と満面の笑みを浮かべながらスピーチを締め括りました。
サプライズゲスト登場! お馴染みのチャントが鳴り響く現役最後の周回
その後はトップパートナーの株式会社ケーズホールディングス代表取締役会長執行役員の平本忠さんが記念品を贈呈し、家族から花束が贈られると、なんとサプライズゲストが登場。 浦和時代の先輩で、唯一、引退に関する相談をしたという親交が深い岡野さんがスタジアムに駆け付け、互いに熱い抱擁を交わしていました。
集合写真の撮影ではチームメイトやOBらに胴上げされ、5回も宙を浮いた本間選手。 ケーズデンキスタジアム水戸での現役最後の周回はでの現役最後の周回は「コージ!コージ!俺達の!俺達のコージ!」のお馴染みのチャントが鳴り響く中、これまでの感謝を叫びながら号泣する水戸サポーターや温かな応援幕を出して見送ってくれた山形サポーターらの姿を、こみ上げる涙を堪えながら、目に焼き付けているようでした。
本間選手もベンチでともに戦った今季最終戦は、アウェーでヴァンフォーレ甲府と対戦し、残念ながら1-3で敗れて連敗でフィニッシュ。 水戸ホーリーホックの2024シーズンの成績は、11勝11分け16敗(勝ち点44)。クラブ創設30周年、J2参入25年目の節目の年にJ1昇格を本気で目指した今季でしたが、成績不振による監督交代や過酷な残留争いに巻き込まれた苦しい一年となり、全20クラブ中15位の成績となりました。 2025シーズンも続投となった森直樹監督は「クラブは若い選手が多く、育成や成長を謳っているが、勝利への執念・執着を出し切った上で、それらを目指さなくてはならない」とホーム最終戦セレモニーで語り、さらなる勝利を徹底追求することを強調しました。
変革期を迎える水戸ホーリーホック
26年目のJ2リーグへ
これまでの水戸の礎を築き上げてきた本間選手がチームを去る来季、新たなフェーズへとシフトしていきます。 いかに勝利と選手の育成、クラブの成長を両立させていくか。日本代表の前田大然選手や小川航基選手の飛躍を後押しした〝育成の水戸〟は、変革期を迎えることになりそうです。 いざ、26年目のJ2リーグへ。 勇猛果敢にJ1昇格に挑む水戸ホーリーホックを2025シーズンも応援しましょう!
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