羽黒神社節分祭2025
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「鬼は外、福は内」のかけ声でお馴染みの節分は、災厄を祓い、福を招くことを願って立春の前日におこなわれる伝統行事です。各地の社寺などで節分祭や豆まき神事が開催され、たくさんの参拝客で賑わう光景は日本らしさを感じさせる風物詩です。春の足音が近づくこの季節、昭和初期から続くと言われる下館羽黒神社の節分祭をご紹介します。
(※2025年1月時点の情報です)
旧暦のお正月にあたる立春 その前日の伝統行事・節分祭
下館地区の氏神様であり、おはぐろさんの愛称で親しまれる下館羽黒神社。
その創建は室町時代と伝えられ、節分祭は昭和初期にはじまったと言われています。社に残る鬼の面の内側には「昭和六年二月」の文字を確認することができ、鬼を退治する杖や神職と鬼の問答を記した"台本"、福の神の衣装、法螺貝など貴重な祭具や史料が大切に残されています。

鬼の面の内側
羽黒神社の節分祭は、景品が当たるくじが入った「福入豆」がお馴染みで、くじを開ける瞬間は参拝客のお楽しみのひとつ。
宮司を務める濱田人吏さんの娘である多賀谷吏江さんは「私が子どもの頃は1日3回豆まきがあり、年男も30から40人くらいいて今よりもっと盛大だった記憶があります。くじの目玉景品といえば、何と言っても自転車でしたね」と懐かしそうに話してくれました。

下館羽黒神社権禰宜 多賀谷尚緒さん
昭和初期からの伝統を今に鬼退治の儀式が復活
近年の豆まき神事は、神職らが壇上から境内に集まった参拝客へ向けて福豆やお菓子を撒くという内容でした。しかし、冒頭でご紹介したように羽黒神社には鬼の面が残されており、かつての節分祭には鬼が存在していたのです。
その伝統を復活させ、守り継いでいこうと立ち上がったのが地元の有志の皆さんで結成された下館節分保存会です。

下館節分保存会の皆さん
保存会のリーダーを務めるのは、本誌でも表紙撮影などでお世話になっているフォトスタジオ「スワロウテイル」の代表、池田さやかさん。
節分祭を盛りあげるため、夫でカメラマンの賢二さんらが「鬼」に扮して参拝客と一緒に写真を撮るという企画を立ち上げたことが鬼復活の第一歩となりました。

下館節分保存会/フォトスタジオ・スワロウテイル代表 池田さやかさん
節分祭へ向けての準備に集まったメンバーと吏江さんとの会話の中で、「昔は豆まきのときに鬼がいたよね」と話題にあがったところ、宮司の濱田さんが鬼の面や衣装を見せてくれたそう。
さらに、進学で地元を離れていた吏江さんの娘、尚緒さんが下館へ戻ってきたタイミングが重なり、演劇をやっていた尚緒さんが権禰宜として鬼との問答を繰り広げるストーリー性のある舞台仕立ての演出を採り入れることに。
話が持ち上がったのはなんと2月1日のことで、構成や舞台の準備はまさに急ピッチで進められました。

衣装をまとった下館節分保存会の皆さん
懐かしさと、新たな感動 絆をつなぐ令和の節分祭
羽黒神社の節分祭に鬼が復活するのは、およそ25年ぶりのこと。
「演者」である尚緒さんや保存会のメンバーにとっては初めての試みであり、「観客」となる若い世代や子どもたちにとっても初めて観る光景です。

節分祭の様子①
「おぼろげな記憶を頼りに、『鬼はこのタイミングで袖から出てきたよね』など、演出や動きを確認しながら準備を進めました。当日は鬼のカツラがとれてしまったり、福の神の立ち位置が違ったりとハプニングもありましたが、地域の皆さんが楽しくあたたかく受け入れてくださり、来年はもっと盛りあげたいという思いが高まりました」と話す多賀谷さん親子と保存会の皆さん。

節分祭の様子②
今年の節分祭では史料にそって5人の鬼が登場し、その姿も伝承通り「怖い」ものにする計画とのことです。さらに、動きやBGMなど演出も練り上げている準備の真っ最中とのことで期待はますます高まります。

節分祭の様子③
折しも、今年の節分祭は暦の関係で2月2日の日曜日に開催されるため、ご家族で出かけやすい日程です。鬼を祓い福を招く、地域の伝統と熱気を肌で感じられる節分祭へぜひお出かけください。
イベント情報

◆羽黒神社節分祭2025
【日時】2025年2月2日(日)
(第1部)18:00~、(第2部)19:00~
※福入豆販売・景品交換は9:00~19:00
【会場】下館羽黒神社(筑西市甲37)