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6月は環境月間です。環境負荷の少ないものづくりや、ものを大切に使うSDGsの活動にもつながる「藍染」に注目し、つくばで藍染工房を営む『 Re:I 』の渋谷怜さんと佐藤直子さんにお話しを伺いました。お二人の取り組みに、ぜひご注目ください。
(※掲載内容は2024年6月時の情報です)

 

細胞が喜ぶ、生きた色
伝統の染色技法「藍染」

人類最古の植物染料と言われる藍は、綿や麻をくっきりと染められることから江戸時代に庶民の間で人気が高まり、当時は村ごとに紺屋と呼ばれる藍染屋があるほど暮らしに密着したものでした。


「藍染と聞くとデニムをイメージする方も多いと思いますが、同じインディゴ染めではあるもののデニムは石炭からつくられた合成染料で染められます。ジーンズ1本つくるのに7,500リットルもの水が消費されると言われる一方で、藍染は蓼藍(たであい)など植物から抽出した天然染料で染めるので、環境負荷の面だけで捉えてもまったく別物なんです」と渋谷さん。また、藍には防虫や抗菌などの効用もあり、中国では薬用植物として重宝されてきました。

 

今年5月14日に行われた藍の定植。発育がよく、種まき後、朝夕にたっぷり水をやると2~3週間ほどで発芽し、2ヶ月後には腰近くの大きさにまで成長する

 

定植のお手伝いに来てくれた野末さん(最左)、坂本さん(最右)と4人で丁寧に手植えする。一回目の収穫は7月を予定。今年は田や畑を耕さないでそのまま播種を行う不耕起栽培に挑戦する

 

感動の青に魅せられて
ゼロからつくる自分の青

渋谷さんが藍染をはじめたきっかけは、子どもの服を染めたこと。
「妻が亡くなり、40代を前にして働き方や生き方について改めて考えたとき、とにかくまずは興味のあることを全部やってみようと思ったんです。自転車いじりや畑、料理などいろいろ挑戦して、子どもの服も型紙から作りました。そんな話を友人の藍染作家さんにしたら『染めてみる?』と言ってくれて」と、藍染との出会いをふり返る渋谷さん。


手づくりのズボンを染料に浸し、水に通した瞬間。

「ものすごくきれいで、うわぁっと感動して。この青を、自分でゼロからつくることができるなんてと、もう完全に魅せられました」

 

渋谷さんたちの手で染められたTシャツ類の「内側」には、 Re:Iからのメッセージが 記されている

 

(左)渋谷怜さん
岐阜県出身、つくば在住10年目。アウトドア用品の大手メーカーを退職して藍染師の道へ。八郷地区の耕作放棄地を藍畑にし、原料づくりから染めまで一貫して藍染に取り組む
(右)佐藤直子さん
栃木県在住。草木染めや農業への興味から渋谷さんの藍づくりに参加するようになり、Re:Iを結成。宇都宮から足しげく八郷へ通い、藍文化の活性化を目指す

 

種まきから染めまで丸1年
手間ひまをかける意味がある

2020年、渋谷さんは10年勤めた会社を辞め、藍染の原料となる蓼藍を栽培するところから活動を開始しました。


藍染制作のおもな工程は、染料のもととなる「すくも」づくりと、すくもを染料に仕上げて実際に布を染める染色の作業があり、一般的にはすくもづくりと染色は分業で行われます。
畑で藍を育て、葉を摘んで乾燥・発酵させて、すべての工程を手作業でおこなうすくもづくりにかかる時間はおよそ1年。手間ひまかかるからこそ分業制となっているところを、あえて一貫して取り組むことで、渋谷さんは「自分だけの青」を目指します。

やがて、以前から親交のあった佐藤さんも仲間に加わり、藍染屋「Re:I」が始動。土に触れて藍を育てること、炎天下ですくもづくりの作業を延々と繰り返すこと、肌も爪も真っ青にしながら布や衣服を一枚一枚染めること。大変だけれど愛おしい一連の作業を、ふたりは「藍染が好きだから楽しい」と笑顔で続けています。

「イメージ通りの色やデザインの服をつくるなら、ポリエステル素材を化学染料で染めたほうが手軽だし安価。でも僕たちはファッションブランドになりたいわけじゃないから。土に還る天然繊維を、藍で染めるのがいいんです」と渋谷さん。Re:I という屋号には、循環をあらわすReと、私、藍、愛をあらわすI、そしてゼロから自分の青をつくる零(れい)という意味も込められています。

 

 

つくる責任、つかう責任
循環する藍染はひとつの答え

藍染の文化を広め、次代へ残していきたいとの思いから、Re:I では藍染作品の制作販売だけでなく、染色体験などのワークショップや、ユーズド製品を染め直してアップサイクルする取り組みにも力を入れています。


ワークショップは石岡市のいばらきフラワーパークなどで開催され、すくもを使わず手軽に楽しめる「生葉染め」や、蓼藍の葉を布において槌でたたいて色を移す「たたき染め」、精麻で編む草履づくりなどを体験することができます。みなさんもぜひチャレンジして、自分だけの青を見つけてみてはいかがでしょうか。

 

発酵という微生物の営みによってうまれる青は、表情の違いも魅力

たたき染めのハンカチ(上)と、藍染の前坪(まえつぼ)も素敵な草履(下)

 

◆藍染工房 Re:I
染めの依頼や藍染体験、その他お問い合わせはHPよりご連絡ください
公式ホームページ https://rei358.jp/

『精麻と藍の草履ワークショップ』
日時:6月20日(木)・7月8日(月) 13:30~16:30
場所:つくばスタイル館
料金:参加費 8,000円
   (精麻、前坪に使う藍染めしたダブルガーゼ込み)

『藍の生葉染め・精麻草履ワークショップ』
日時:7月25日(木)
   8月3日(土)・30日(金)・9月3日(火)
   各日 10:00~14:00
場所:つくばスタイル館
料金:参加費 4,000円

 

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