茨城中が燃えた夏の甲子園
37年振りに夏の甲子園への切符を手にした明秀学園日立高校。主将を務めた3年の石川ケニーさんと金沢成奉監督に甲子園の振り返り、そして来年への思いを語っていただきました。
37年振りに夏の甲子園の切符を掴んだ県北の雄
試合当時の様子を笑顔で振り返る石川ケニー主将
緊張に包まれた実力校との熱戦
今年春の選抜大会での活躍から、夏の県大会の優勝候補筆頭と注目を浴びた明秀日立。その県大会では決勝で土浦日大をサヨナラホームランで下す劇的な勝利で、同校初の、また県北勢として実に37年振りとなる夏の甲子園への切符を手にしました。
「春夏連続出場のプレッシャーは誰よりもよく知っています」そう話す金沢成奉監督。過去に率いたチームも含め、春夏通算10度の甲子園出場に導いた経験を持つ金沢監督にして「なんとしても勝ち抜くという強い想いで春夏連続出場を成し遂げた子どもたちに。感謝と誇らしさを感じました」と振り返るほど、県大会決勝の戦いぶりは格別なものでした。
茨城県代表として、地域の期待を一身に背負って挑んだ甲子園では、猪俣駿太選手と石川ケニー選手両エースの小刻みな継投と、磨き上げた強力打線が力を発揮。名門・鹿児島実業(鹿児島)に競り勝って夏の甲子園初勝利を挙げると、次戦では、この夏の覇者・仙台育英(宮城)と激突。球場全体を覆う張り詰めた空気のなか終盤までリードを保つも、7回に逆転を許し、仙台育英の前に涙を飲みます。しかし、東北勢初優勝の歴史を刻んだチャンピオンチームを相手に一歩も引かず堂々と戦い、大会を通して唯一接戦に持ち込んだ強豪として、明秀日立もまたその名を全国に轟かせました。
「春とは違う夏の大会独特の雰囲気に体が思うように動かない場面もあり、正直悔しさが残りますが、地域の皆さんにはその想いを引き継ぐ後輩たちに期待して貰いたいです」
初出場ながらベスト16の快挙を達成し、今大会注目の左腕として投打で魅せた石川選手。この夏チームを率いた主将は、後に続く後輩たちの活躍を確信します。
多くの人に支えられて上がったマウンドは“恩返しの舞台”
来年の夏に向けて新チームの始動も
「日立や高萩だけでなく、たくさんの人との関わりが実を結んで出場できた格別な甲子園でした」そう振り返る金沢監督。
全国大会への出発の日、日立市役所前で横断幕や手を振って送り出してくれた職員・市民の皆さん。目標額を大幅に超える約1270万円もの寄付金が集まったクラウドファンディング。また、同校出身のプロ野球選手・細川成也選手(DeNA)や増田陸選手、金沢監督の愛弟子、坂本勇人選手(共に巨人)からの支援。その他にも地域の人々から様々な形で応援され、甲子園はそうした人たちへの恩返しの舞台にもなりました。
明秀日立にとって、今年の夏は一つの通過点。彼らが見据える未来は、悲願の全国制覇です。大学でプロを目指す石川主将は『真の日本一』を後輩たちに達成して欲しいと想いを託します。
取材当日、来年の夏に向け既に始動していた新チーム。甲子園を沸かせた熱い夏の記憶をそれぞれの胸に秘め、もう一度、深紅の優勝旗を獲りに甲子園を目指します。
金沢成奉監督はチームや地域への感謝を語った
2回戦開始直前の円陣で監督から鼓舞されグラウンドに立った明秀ナイン
甲子園を沸かせた吹奏楽部や応援団に感謝の気持ちをグラウンドから伝えた
春に続いて甲子園の土を踏んだ明秀日立。スターティングメンバーをはじめ、マネージャーや分析班などチームが一丸となり、夏の切符を手にした
第104回全国高校野球選手権大会 試合結果
【2回戦】
8/10(水)
明秀日立 2-1 鹿児島実業高校
【3回戦】
8/15(月)
明秀日立 4-5 仙台育英高校