ショートストーリー
明日への贈り物 Episode41
疲れた身体に追い打ちをかける息子へのイライラが止まらない

いばらきの子どもと子育てファミリーへある家族の物語をご紹介します。
この物語が誰かの救いや気づき、そして児童虐待防止につながることを願って。
疲労困憊の父親が抑えられなかった我が子への感情
残業続きの日々で、久しぶりの休日は家族サービス。年少の息子と生まれたばかりの娘と一緒に家族4人で、近くのショッピングモールの室内遊具施設に行った。ひな祭りのお菓子を配るイベントもあり、中で人でいっぱいだ。
「いいよ。俺が見てるから買い物してきなよ」妻に大きく出てみたものの、疲れた身体で子どもの相手をするのは正直しんどい。息子は最初楽しく遊んでいたが、隣で遊んでいた同じ年頃の男の子とおもちゃの取り合いを始め、泣き叫ぶ。幼い娘は数時間毎に泣いてしまう。それでも二人の相手を精一杯こなした。
駐車場に戻って帰ろうとした時だった。「まだ遊びたいよお。帰らない!」息子がぐずり始める。疲労はピーク、イライラが止まらない。「ちゃんと座りなさい!」チャイルドシートに座らない息子の頭を押した拍子に、息子は後ろにひっくり返ってしまった。「やめてよ!」妻がすぐに止めに来た。
頭では分かっていても、怒りが抑えきれない。車の傍らでタバコに火をつけ、必死で自分を落ち着かせる。「家で休んでいる方がマシだったかもな」煙を吐きながら呟いた。
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています
