子育てや心の不安、学校の悩みなど、地域の子どもと保護者が誰でも相談できる児童家庭支援センター。親子関係を再び構築するための支援や専門的ケアで心のダメージを回復し、児童虐待の発生予防を担う、みんなの居場所をご紹介します。
茨城県内4ヶ所に設置
18歳までの親子を誰でも支援
児童家庭支援センターとは、0歳から18歳までの児童とその保護者に関わる相談支援を行う施設。1997年の児童福祉法改正に伴い、地域に密着した支援体制を強化するため、2022年6月時点で全国各地に167ヶ所に設置され、茨城県では現在、高萩市、水戸市、土浦市、行方市の4ヶ所で運営されています。
同施設は保護者だけでなく、子ども本人の色々な悩みや相談に応じる相談援助機関で、心理士が常勤してプレイセラピーや保護者へのカウンセリングを実施。市役所、児童相談所、保育所や学校、保健所など各関係機関と協力しながら、里親や児童相談所からの受託による親子の支援、子ども食堂などの子どもたちのための施設と連携したサポートなども行うのが特徴です。
「児童相談所と何が違うの?」と比較されがちですが、児相は児童虐待がすでに発生したケースを主に対応する施設である一方、センターはその予防が目的です。臨床心理士の田村美紀さんは「悩みがあってもなくても、みんなの居場所になる温かな施設です」と笑顔で話します。
※プレイセラピー:安全な環境と遊び道具を通して子どもが自分自身の気持ちや考え、行動を表現したり探索するセラピー。別名遊戯療法。
今年8月に誕生
新たなセンター「ともいき」
茨城県で4ヶ所目となる「児童家庭支援センターともいき」は今年8月に開設したばかりです。保育園、児童養護施設、発達支援室など子どもたちの生活に関わるサービスを提供する社会福祉法人照桑福祉会が運営。かつて病院だった建物をリフォームしたセンターは、広々とした開放感と清潔感がある室内に、待合室やプレイルーム、面接室などを完備しています。
センターはどの市町村に住んでいても利用可能で、相談をはじめ、子どものプレイセラピーや保護者のカウンセリングは全て無料。親子が気軽に利用できる地域に開かれた施設です。相談員の佐伯瑛美さんは「ふらりと赤ちゃんや子どもを連れて行ける場所って意外と少ないもの。日常のお出かけ先の一つにして貰えると嬉しいです」と呼びかけています。
センターは法令で認められている場合や本人の同意を得た場合を除いて、個人情報を第三者に提供または開示することはありません。相談者の悩みに対してセンターが窓口となり、さまざまな機関と連携して二重、三重のネットワークによる切れ目のない支援が受けられるのもポイントです。
明るく爽やかなホール。開放感あふれるくつろぎの場所
おもちゃ盛りだくさんのプレイルーム。騒いで飛び跳ねてもOK!
電話、来所、訪問などで相談
福祉の充実で虐待を予防
各児童家庭支援センターでは電話や来所で相談する他に、自宅訪問相談を行ったり、メールやLINEで受け付けているところもあります。来所の際、センターでは原則的に事前予約が必要ですが、予約なしでふらりと訪れてもOKのところも。利用したい場合は利用希望のセンターのHPを確認するか、問合せがおすすめ。どのセンターも親子の心の拠り所として寄り添ってくれるはずです。
「悩みや不安を決して一人で抱え込まないでください。近所の寄り合い所に来る感覚で気軽に立ち寄って欲しいです」と次長の酒井寛さん。
センターの普及によって期待されるのは、地域福祉の充実。児童虐待は家族関係、家庭の経済状況など、さまざまな要因が複雑に絡まって起こってしまうもの。センターが窓口となって、市町村をはじめ、子どもと保護者を支援するさまざまな機関と連携して、家庭の問題全体を包括的に支援することが、ひいては児童虐待防止につながっていくことでしょう。
佐伯さんお手製の可愛らしい壁面飾りがお出迎え♪
INFORMATION
同仁会児童家庭支援センター
住所:高萩市肥前町1-80
TEL:0293-22-2471
子ども家庭支援センター「どうしん」
住所:土浦市並木3-18-5
TEL:029-824-3715
児童家庭支援センター「あいびー」
住所:水戸市小林町1186-84
TEL:029-291-3770
児童家庭支援センター「ともいき」
住所:行方市玉造甲5985
TEL:0299-56-6552
※各センターの利用時間などの詳細は各HP、または電話で確認