ショートストーリー
明日への贈り物 Episode12
20歳のシングルマザー 親子で安心して暮らすための第一歩
いばらきの子どもと子育てファミリーへある家族の物語をご紹介します。
この物語が誰かの救いや気づき、そして児童虐待防止につながることを願って。
苦しいひとり親家庭 相談できる場が心の支えに
18歳で娘を産んで、籍を入れないままシングルマザーになった。同級生は進学か就職をして、同世代に相談できる友達もいないし、母親も去年再婚して遠方に引っ越して頼りにくい。
「パートで稼ぐお金で2歳の娘と暮らすのは想像してた以上に大変で、娘はすぐに熱も出すから仕事を休むことも多くて出費は増えるばかり。
その日も、仕事中に呼び出されてイライラしていたと思う。ぐずぐず泣きながら私の服を引っ張る娘の手を叩いてしまった。
「ごめんね、ごめんね」
泣く娘を見たら苦しくて、でも、どうしようもなくて、私も泣きながら謝るしかできなかった。少しして、まだ胸が苦しいままだったけど、児童相談所相談専用ダイヤルに掛けた。
「もしもし、大丈夫ですか?」
優しい声に、また涙が溢れる。それから娘は一時保護された。そして私は、市の一時保育や就業支援のサービスを紹介してもらいながら、市や相談所の人たちと一緒に娘との生活に戻る準備を始めた
この先どうなるか分からない。でも、娘を思えばどんなことでも頑張れる。ここからが新たなスタートだ。
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています