年々増加している児童虐待。未来ある子どもを守るため、皆が一丸となって虐待防止に努めていきましょう。今回は、「認定特定非営利活動法人 いばらき子どもの虐待防止ネットワーク あい」(以下、ネットワークあい)事務局長の仲根泰子さんに話を伺いました。
小さないのちと心を守りたい。
虐待の連鎖を断ち切るために、今できることを。
── いばらき子どもの虐待防止ネットワーク あいはどのような団体ですか?
仲根 「ネットワークあい」は、1999年に起こった取手市の虐待致死事件をきっかけに、茨城県内の有志で2000年に設立したNPO団体です。現在、電話相談をはじめ、研修や講演会、育児の相談サロンの開催、ハンドブック配布やチャリティー活動を通して児童虐待を防ぐための啓発を呼び掛けています。
── 虐待に関する現状はどのようなものなのでしょうか?
20年前に比べて、「虐待」という言葉に対する一般の方の認識も変わってきました。ですが、まだまだ「子どもは親のもの」という意識が強く、しつけと虐待の線引きがあやふやな方もいらっしゃいます。虐待には、身体的虐待・性的虐待・ネグレクト・心理的虐待がありますが、中でも、性的虐待は外傷や死亡と違って、受けた側が声をあげないと明るみに出にくい現状があります。特に被害者が子どもの場合、暴行や性的虐待の事実を立証するのが難しいケースがあり、法律の整備が必要だと考えられます。虐待の連鎖を断ち切るために、「どうしたらいいのか講演会などを通して皆で一緒に考えていこう」と呼び掛け続けています。
── 活動を行う上で心掛けていることはありますか?
民間団体であるからこそ、枠にはめないで話を聞くことを心掛けています。電話相談『オレンジライン』や、被虐待体験の悩みを語り合う『オレンジサロン』では、相手の話に耳を傾け、関わり方を整理して、できるところから関わっていくようにしています。しかし民間団体には権限がないので、自治体などのように強制力を持った行動が取れないのが苦しいところです。
── 児童虐待をなくすために、私たちにできることは何ですか?
子どもはSOSの伝え方がわからず、自分の状況を周囲の大人に伝えられない子も多くいます。虐待を受けている子の違和感に周囲の兄弟姉妹や友達などが気付いていることもあるので、 大人たちは子ども達の「あのね」に耳を傾けてほしいです。
── 最後に読者へのメッセージをお願いします
虐待する人の中には、自分が過去に親から受けた辛い体験に今も苦しんでいる場合も多く、精神的に外向きになるまでには時間がかかります。ですから、ネットワークあいでは4つの『な い』を大切にしています。「逃げない」、「あきらめない」、「裏切らない」、「見捨てない」。虐待する親を責めるだけでは解決にはなりません。今後も、子育ての辛さや大変さを共有し、小さな 命と心を守るためにできることを考え続けていきたいですね。
INFORMATION
認定特定非営利活動法人
いばらき子どもの虐待防止
ネットワーク あい
TEL 029-309-7690
住所 茨城県水戸市大塚町1866-102
http://network-i.jp/
いばらき子ども虐待防止ネットワーク
あい事務局長 中根泰子さん