ホーム最終戦&GK本間幸司選手引退セレモニーレポート~前編~
水戸在籍26年!日立市出身のレジェンド守護神 プロ人生最後のホーム戦にスタメンで出場!
1977年生まれ茨城県日立市出身のGK本間幸司選手は、水戸短大付属高校(現・水戸啓明高校)を卒業後、浦和レッズでの3年を経て、水戸ホーリーホックで26年間も過ごしたバンディエラ。J2通算出場試合数は単独トップで、30年以上の歴史あるJリーグ全体でも歴代6位と日本サッカー界を代表するゴールキーパーです。
20年余りも絶対的な守護神として水戸のゴールマウスを守り続けながら、クラブ存続やJ3降格の危機、東日本大震災、自身の大怪我など様々な苦難を乗り越えてきたミスターホーリーホック。そんな稀代のレジェンドが今年9月、今季限りで引退することを遂に表明しました。 それからチームは本間選手のプロ最後のホームゲームを最高の形で送り出そうと一丸となり、ホーム最終戦直前の第36節・いわきFC戦で白星を飾り、J2残留を決定。 大舞台が整った第37節・モンテディオ山形戦で、本間選手は見事スターティングメンバーに入り、自身が持つJ2歴代最多出場記録を577試合に更新しました。
1万488人の大声援をチカラに! 挑む!ホーム最終節・モンテディオ山形戦
試合前に「自分らしくゴールを守り、しっかり燃え尽きて終わりたい」と語っていた本間選手。 クラブ史上最多入場者数となる1万488人の大声援をチカラに、クラブ記録タイの7連勝中でプレーオフ圏内を狙うモンテディオ山形を足止めしようと、意気揚々とゴールマウスに立ちはだかりました。
しかし、そう簡単に微笑んではくれないサッカーの神様。数々の苦労を味わってきたレジェンドに最後まで試練を与えます。 なんと攻撃のキーマンであるMF新井晴樹選手がメンバー外、さらに開始わずか7分でボランチのMF前田椋介選手が負傷交代となり、立て続けにアクシデントが襲いかかります。水戸は前線からプレッシングをかけますが、山形に上手く剥がされてしまい、狙いとするカウンターも奏功しません。
そんな中、本間選手がピンチの場面で力強いセーブを見せて、会場を沸かせます。 「久々の出場だったので、アップの時もふわふわしていたんですけど、ピッチに入ったらすぐに馴染む感じがありました。『今日はいけるな』という感覚があり、1本目に山田(拓己)君のシュートをしっかりセーブできたので、そこからリズムを出せていいプレーできそうだなという感覚ができました」と話す本間選手。 ところが22分、山形の華麗にデザインされたセットプレーにより先制点を奪われてしまいます。相手を崩す糸口がなかなか見えない水戸は、1点ビハインドのまま後半へ。
後半58分、待望のゴールを獲得!
このままでは終われない守護神
後半が開始してから58分、水戸は待望のゴールを獲得します。 3バックの左を担うDF大崎航詩選手がDF石井隼太選手とのワンツーパスで抜け出すと、左サイドに展開したFW草野侑己選手がクロスを上げ、オーバーラップしていたDF長澤シヴァタファリ選手が頭で合わせて同点に追いつきます。その直後、ショートカウンターから草野選手にビッグチャンスに生まれ、追い上げムードが加速していきました。
そして水戸は、FW安藤瑞季選手、左ウィングバックにMF甲田英將選手を投入。しかし、この采配が危機的状況を招きます。 不慣れなポジションに起用された甲田選手の攻守が曖昧となり、64分、山形MF髙江麗央選手にフリーでクロスを上げさせてしまうと、本間選手は勢いよく飛び出し過ぎてしまう判断ミスを冒し、山形FWディサロ燦シルヴァーノ選手に勝ち越し弾を決められてしまいます。 「せっかくチームメイトが追いついてくれたのに、僕がクロスに出て触れられなかった。そこで流れを悪くしてしまったなと感じています」
このままでは終われない守護神。 後半67分、47歳とは思えない驚異の反応で山形MF國分伸太郎選手の強烈なミドルシュートを跳ね除け、チームを牽引します。 しかし、後半78分、再び山形MF髙江選手に右からクロスを上げられ、それを山形FW高橋潤哉選手に頭で押し込まれ、2失点目と同じ形で失点。 アディショナルタイム5分の最後まで、水戸は逆転を狙いましたが、スコアは動かぬままホイッスルが鳴り響き、1-3で山形に軍配が上がりました。
「あっという間に90分が終わってしまって、『これで終わりか』と思うと、すごく寂しい気持ちがあります。サッカーって残酷なもので、カッコよくは終わらせてもらえなかったけど、これも含めて、フットボーラーとして、GKとして29年間生きてきた生き様かなと。これからの人生のいい教訓にもしていきたいと思います」と最後まで悔しさを滲ませていました。 試合終了後は本間選手のプロ29年間という多大な功績、ホーム最後の勇姿を称えて、水戸側だけでなく、山形の渡邉晋監督や選手達、審判団も花道を作り、両サポーター達も割れんばかりの大拍手でレジェンドの退場を見送りました。
後編に続く 「水戸ホーリーホック2024 ホーム最終戦&GK本間幸司選手引退セレモニーレポート~後編~」はこちらをご覧ください。
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