ショートストーリー
明日への贈り物 Episode15
久しぶりに帰ってくる娘と孫 距離はあっても思いはあたたかく
いばらきの子どもと子育てファミリーへある家族の物語をご紹介します。
この物語が誰かの救いや気づき、そして児童虐待防止につながることを願って。
シングルマザーの娘の帰省 二人を心配する祖母の胸中
コロナ禍で会えない日々が続いた中、数年ぶりに娘が孫を連れて今日帰ってくる。
数年前に離婚して、すぐに出産した娘。シングルマザーとして働きながらの子育ては大変なのだろう。私が電話してもほとんど出ないし、メッセージアプリも既読はつくけど返信はない。心配のあまり続けてメッセージを送ると「疲れてるからあんまりメッセージ送らないで」と一蹴されたこともあった。
離婚も出産も決まってから報告を聞いただけ。今もパート勤務だから裕福ではないだろうし、一人だけの子育ては楽なはずないし……といつも不安が尽きない。
それでも「大丈夫だから」という娘に、時折野菜や米を送ることくらいしかできずに今日まで来てしまった。
ソワソワする気持ちのまま、スーパーで買ってきたお菓子をテーブルに並べる。こういうお菓子は食べられないかな。ふと、また不安になる。
「ただいまー」「ばあばー!!」
玄関の開く音と、明るく元気な声が聞こえる。
「おかえり、待ってたよ」
暖房で暖めた部屋のドアを開く。
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています