土浦が誇る老舗どら焼き専門店「志ち乃」の秘密に迫る

（※内容は2017年5月25日時点のものです）

手作りのモチモチの皮に、上品な甘さの粒あん。そしてサラダやレアチーズなど一風変わった商品も取り揃える志ち乃のどら焼き。現在4店舗で毎日6千個以上、土浦本店だけで1日で1万1千個を売り上げたこともある、言わずと知れた大ヒット商品です。
「色んな味を混ぜず、なるべくシンプルに。何よりも味の良さを追求しています」と七野悟社長は語ります。

実は創業当時、ごく一般的な和菓子屋だったという志ち乃。転機が訪れたのは新店舗を開いた昭和52年。有名菓子店での修業経験を持つ七野満会長がどら焼きを販売すると、瞬く間に評判となり、スタッフが片手でおにぎりを食べながら皮を焼く程、店の前は連日長蛇の列に。
そして昭和62年、「梅どら」が全日本和菓子大品評会で「全日本最優秀賞」を受賞。全国でその品質や味が認められた満会長は、その後も柔軟な発想で次々と新商品を開発。平成10年につくば学園店が開店、約10年前にはネット販売もスタートし、順調に土浦の銘菓としての地位を築いていったのです。

しかしその矢先、東日本大震災が発生。行事が多い3月に長期休業を余儀なくされ、売上がマイナスに…。その年に悟社長へと志ち乃の舵取りが継承。3年前に常磐自動車道守谷SA(上り)へ守谷店をオープンして以降、約3年に及ぶ業績低迷から徐々に回復を遂げました。昨年には県外の柏マルイへも出店。茨城を代表する銘菓として好評を博しています。

「『土浦と言ったら志ち乃』と地域の方が誇りに思うどら焼きをお届けしていきたいです。そして人生の大切なひとときに、私達のどら焼きを選んでいただけるよう、地域に愛され続ける店を目指していきたいです」と社長。
海外での「ドラえもん」人気に伴い、その好物のどら焼きは世界の人々が知る日本のお菓子。そこに目を付けた悟社長は、今後アジアでの販売も視野に入れているのだとか。土浦から全国、そして世界へ。志ち乃はたゆまぬ革新を続けています。

毎朝手作りされているどら焼きの皮。実はこちら、気温や湿度で仕上がりが大きく左右されるといいます。年中、同じ品質の皮を届けるためには、菓子職人の経験と勘が頼りなのです。

「天気予報を見て、湿度や気温の変化を予想して、材料の配合や焼く時の温度を調整しています。餡子を作る時も同じ。職人のチームワークで味や質にムラのないどら焼きを提供しているんです」と土浦本店工場長・潮田基さん。

また、手作りへのこだわりを貫くために、「HACCP」の衛生管理方法を徹底。「手洗いは1時間に1分以上。1時間に1度は異物混入のチェックを欠かしません」と潮田さん。昨年は「いばらきハサップ」の認証を受け、安全性を一層向上させました。