投稿日:2022年07月25日
日曜午後、古河城諏訪曲輪跡地に建つこちらの博物館に初訪問。周囲には堀や土塁等、城跡を窺わせる構造がそこかしこに見られます。受付でコロナ対策のための連絡先記入等を行い、ロビーで展示されている、古河藩主・土井利位が雪の結晶を観察して描写した図鑑「雪華図説」(1832年刊行)を眺めました。この雪華と言う意匠は利位自身が身の回りの調度品・道具類さらに菓子の形にまであしらって愛用したとか。また後世、雪華は「大炊(おおい)模様」という名称で、工芸品(漆器・陶磁器等)や浮世絵等に盛んに利用されているとのことで、この意匠の成立過程がよくわかりました。さらに、珍しいオランダ製ストリートオルガンがロビーにありましたが、時間の都合で鑑賞できませんでした。企画展示室では「記憶をきりとる写真」展が行われており、古河市内の戦後間もない頃の風景や幕末期以降の古い肖像写真、廃城となって以降の古河城の写真等があって興味深いです。常設展示室では、蘭学者・渡辺崋山による古河藩家老・鷹見泉石の肖像画(国宝)が最初に出迎え、泉石の所有資料が豊富に展示されています。訪問時は黒船来航時の記録資料(国重文・ペリー横浜入津図、ペリー横浜来航図等)やアヘン戦争関係の資料が展示され、当時の克明な記録を目の当たりにできました。さらに当時の世界・日本・古河藩内の古地図等や、藩主・利位が大坂城代であった際に発生した「大塩平八郎の乱」の泉石による鎮圧の顛末、その際に使用された「召し捕り棒」が興味深いです。これらをじっくり見学したため閉館時間となってしまい、古代や中世・古河公方時代の展示、また博物館向かいの鷹見泉石記念館は、残念ながら次回に観ることにしました。