水戸ホーリーホック密着レポート
今季でJ2参戦25年目を迎える水戸ホーリーホックの勝負のシーズン。
就任2年目の濱崎芳己監督率いるチームには、高・大卒ルーキー9名を含む16名の選手が新加入。来季の加入が内定している筑波大学3年生の沖田空選手を2024年JFA・Jリーグ特別指定選手として新たに加え、全35名でシーズンに挑みます。
キャンプでは守備の連係を徹底訓練
攻守でアグレッシブに躍動するサッカーを
今季はスペシャルな特徴を持った新加入選手が多く、「特にオンザボールのところで変化を持っているので、攻撃の部分で各選手の特徴を前面に出せるチーム作りをしていきたい」と濱崎監督。
クラブ創設30周年のアニバーサリーイヤーでもある今年。攻守両面で躍動するサッカーを魅せ、この節目の年に悲願のJ1昇格を目指します。
昨年はディフェンスの主力選手が次々に負傷離脱するアクシデントに見舞われ、守備が安定せずに失点を重ねる苦しい戦いで順位を落としました。
今年はメンバーの半数近くが入れ替わった事もあり、チーム全体に守備の連係を浸透させることを徹底。始動直後から沖縄キャンプ中まで、練習の大半を守備の構築に費やし準備を進めました。
果たして、取り組んできた守備がどれだけ発揮できるか。実戦に近いプレシーズンマッチで、J1の強豪・鹿島アントラーズとの対決に臨みました。
早春の訪れを告げる『茨城ダービー』
盟主復活を掲げる鹿島にとっても貴重な一戦
今年で18回目となる茨城ダービー。水戸が一昨年に歴史的初勝利を挙げると、昨年もホームで鹿島の攻撃を封じ連覇を達成。3連覇の偉業を期待する水戸のファン・サポーターから例年以上に注目を集めました。
一方の鹿島は、今季からランコ・ポポヴィッチ新監督を迎え、アグレッシブで組織的且つ攻撃的なフットボールでリーグ、ルヴァンカップ、天皇杯の3大タイトル奪還を狙います。
鹿島の常勝時代を支えた柴崎岳選手がキャプテンに就任し、スピードが武器の高身長FWアレクサンダル・チャヴリッチ選手や、ブラジル人ウィンガーのギリェルメ・パレジ選手を補強。エースの鈴木優磨選手、日本代表のボランチ佐野海舟選手、守備の要となる植田直通選手などそうそうたるメンバーが並びます。
この日の試合では怪我による主力選手の欠場もありましたが、7年連続の国内無冠という屈辱を晴らすべく、シーズン開幕を前に常勝軍団復活の狼煙を上げたい一戦です。
鹿島のハイプレスに苦しむ序盤
水戸の隙を捕らえた鹿島がカウンターで先制
2月10日、例年より暖かい陽気の茨城県立カシマサッカースタジアムに1万1,106人の観衆を集め、今季の両チームを占うリーグ前哨戦開始のホイッスルが鳴りました。
どちらも現状のベストメンバーに近い形で挑んだ前半は、序盤から鹿島が強烈なハイプレスでリズムを掴み、球際で水戸を圧倒。なんとか耐えていた水戸は守備のラインが下がり、防戦一方を強いられる展開に。
そして迎えた21分、水戸のパスミスから鹿島FWチャヴリッチ選手がショートカウンターを仕掛けると、右サイドを駆けあがったMF藤井智也選手の浮き球のクロスにMF樋口雄太選手がダイレクトボレーでピタリと合わせ、先制点を獲得。ゴール前のクオリティー差を見せつけられます。
失点後は前線のプレスから攻撃に繋げるスタイルを徐々に取り戻した水戸ですが、前半の鹿島のシュート数4本に対して0本とチャンスを作れず、0対1で後半へと折り返しました。
両陣営の注目選手が続々登場
鹿島の右サイドを切り裂いた得能選手の攻撃力
この日のプレシーズンマッチでは6人の交代枠を認める特別ルールが適用され、両チームともにハーフタイムから続々とフレッシュな選手を投入。
U-20日本代表GKの春名竜聖選手から新加入のベテランGK松原修平選手に代えて攻守を立て直す水戸に対し、鹿島はアジアカップから戻ったばかりのMF佐野海舟選手、FW師岡柊生選手を入れて、今季からボランチを兼任する知念慶選手を本来のポジションであるFWに上げる采配を見せます。
後半に入っても、水戸はボランチのMF長尾優斗選手や長井一真選手、柏からレンタル移籍で加入したトップ下MF落合陸選手らが自陣の深い位置まで落ちて攻撃のビルドアップを試みますが、鹿島の堅守に跳ね返され、ペナルティーエリアに侵入できない状況をなかなか変えることができません。
この苦境を打開したい水戸は59分、昨年、特別指定選手として開幕戦からプレーしたドリブラーのFW得能草生選手と、水戸4年目の攻撃的DF大崎航詩選手を同時に投入して左サイドを一新。二人の息の合ったコンビネーションで縦への推進力を生み出すと、得能選手の果敢な仕掛けからのクロスやシュートで決定機を演出。再三に渡り鹿島ゴールに迫りますが、体を張った守備とシュートがクロスバーに嫌われる不運にも阻まれどうしても得点できません。
終盤には、途中交代したボランチのMF髙岸憲伸選手、FW寺沼星文選手、高卒ルーキーMF齋藤俊輔選手がゴールを狙いますが残念ながら最後までネットを揺らせず、試合は0対1のまま終了しました。
収穫と課題を得た一戦と振り返る濱崎監督
開幕戦は貪欲に勝利だけを目指すと語る村田主将
「特に試合の立ち上がりで取り組んでいることが見せられませんでしたが、失点してからは相手にとって嫌なことが少しずつできてきました。鹿島さんの球際やゴール前の強度が高く、シュートを簡単に打たせてもらえず、最後のクオリティーは鹿島さんの方が上でした。でも、そこに打ち勝っていかないと我々は次のステージに行けません。課題として高めていきたいです」と、この試合を振り返る濱崎監督。
沖縄キャンプでは、チーム全体でパスを回し常にボールをキープしながら主導権を握るポゼッション型のJクラブと練習試合を積み重ねてきた水戸。
この試合では鹿島のような前線から守備をしてくるプレッシング型のチームに対する課題が明確となり、チームとして収穫の多い一戦となりました。
リーグ開幕戦で戦ういわきFCは、鹿島と同じように激しいプレスを基本スタイルとし、フィジカルの強さにも特徴をもつ難敵。水戸は今、鹿島戦のフィードバックを繰り返し、なかなか発揮できなかったビルドアップなど攻撃面の練習にも入念に取り組んでいます。
「ホーム開幕戦は勝利が何よりも大事。内容よりも結果にこだわることが、僕らの自信にもその先の未来にも繋がっていくと思います。何を置いても勝つことに全員で集中して向かっていきたいと思います」。今年、キャプテンに任命された村田航一選手は、開幕戦勝利への強い意気込みを語りました。
必勝祈願&キックオフパーティーで一致団結
新シーズン開幕戦を勝利で飾り勢いを!
2月14日、水戸は選手、コーチ、スタッフが揃って水戸市常磐町の常磐神社を訪れ、今季の必勝を祈願。
翌日15日には水戸市千波町の水戸プラザホテルで『2024キックオフパーティー葵会』が催され、スポンサー、関係者、サポーターら約350人と交流し、昇格へ向けて一致団結しました。
多くの人々の後押しを受けてモチベーションを高め、開幕戦に向けて着々と調整を続ける選手達。
水戸ファミリーのチカラを一つに、J1昇格へ。
常磐線ダービーで熱戦の火蓋を切るシーズン第1節いわきFC戦は、ホームのケーズデンキスタジアム水戸で2月24日(土)14時にキックオフ!
2024明治安田Jリーグ、いよいよ開幕です。
水戸ホーリーホック公式サイト
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