ショートストーリー
明日への贈り物 Episode23
娘の友達が虐待されているかも 戸惑う気持ちと、ある決意
いばらきの子どもと子育てファミリーへある家族の物語をご紹介します。
この物語が誰かの救いや気づき、そして児童虐待防止につながることを願って。
乱暴な性格の娘の同級生 その親子の不自然な空気感
5歳の娘を保育園に迎えに行くのはいつもギリギリ。娘と数人の子どもが待つ中、必ず残っている男の子がSくんだった。ご両親が忙しいのか、いつも遅くまで元気に遊んでいた。
娘は帰り道で「Sくん、今日もいじわるしてたよ」とよく話す。どうやら彼は周りに強く当たったり、自由に動き回ってしまうらしい。時には先生や友達に乱暴しようとすることも。先生が止めているみたいだけど、何度も聞くので困ったなあと感じていた。
ある日、お迎えに来たSくんママと鉢合わせた。見た目は普通でも、どこか疲れているような雰囲気。気のせいかな。ふとSくんを見ると、いつもは元気なのにずいぶん大人しい。ママの前だとこんな感じなんだと意外だった。
別の日にも遭遇してもやはり同じ様子。園で見る他の親子と二人の距離感は違うように見える。
何となく嫌な予感。もしかして……?いやいや、同級生の親というだけで立ち入っちゃダメだ。でも万が一の事があったら?何故か緊張感が走ってきた。まず、明日先生にそっと相談してみようか。正しいかは分からないけれど。
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています