児童虐待は過去最多を更新
心理的虐待が6割を占める
児童虐待防止法では、児童虐待を主に4つに分類しています。身体的虐待、ネグレクト(育児放棄)、性的虐待、そして言葉による脅迫、無視、兄弟との差別的扱い、子どもの前での家族に対する暴力や暴言などの心理的虐待です。
茨城県における児童相談所への相談は、平成30年度のデータでは虐待が約2700件と全体の約45%を占めており、過去最多を更新。虐待の相談内容の約6割がDV(ドメスティックバイオレンス)の目撃による心理的虐待等を含む「心理的虐待」となっています。
加えて、現在新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、茨城県各地の学校でも臨時休校が長期化。外出自粛の呼びかけも続いています。生活不安やストレスから児童虐待の増加が懸念されます。
茨城県土浦児童相談所所長の中林貴紀さんは「新型コロナウィルスの影響が続けば、DVと関連性が高い児童虐待が増える可能性があります。様々な動向を注視しながら、適切な対応に努めたいです」と警戒を強めています。
児童相談所の役割とは?
茨城県独自の虐待防止対策
もしも児童虐待が起こってしまった場合、児童相談所(児相)はどういった役割を担うのでしょうか?児相はまず相談や通告を受けると、虐待について調査や判定、指導にあたります。その際、立入調査や一時保護など、強い権限を認められているのが特徴です。その後は在宅指導や施設への入所措置、里親の委託をするほか、再発防止のための切れ目のない支援をしていきます。
土浦児童相談所所長の中林貴紀さん、副所長の川島由加里さん
茨城県では今年度から、日立と鉾田を新たに加えた計5ヶ所の児相を設置しています。年々、困難な事例が増えていることから、迅速な対応ができ、より専門性を確保した組織へと体制強化を図っています。虐待の早期発見や未然防止のため、24時間対応の「いばらき虐待ホットライン」の設置をはじめ、教育関係、市町村、警察、病院など関係機関との連携も強化。また、茨城県では全国で早く、児童虐待防止に関する条例を昨年4月に施行しました。児相と警察で虐待事案を共有し、支援をしている家庭の転出や転入などの際の適切な引き継ぎ、国の基準を超える児童福祉司の配置など、県独自の取り組みで対策に力を注いでいます。
児童虐待を疑ったら
ためらわず『189』へ電話を
しかし子どもの虐待防止は、児相などの公的機関だけで行えるものではありません。「アパートから赤ちゃんの激しい泣き声がする」「子どもへの尋常じゃない怒鳴り声が聞こえる」。どこか違和感があり、「これって虐待?」と感じた経験はありませんか?今年4月から、保護者でも子どもへ体罰を与えることは法律で禁止されました。もし少しでも虐待を疑ったら、ためらわずに『189』へ電話をしましょう。もちろん匿名でもOK。通告者のプライバシーは必ず守られるので、「自分が電話したとバレたら…」という心配はありません。
「将来を担う子どもたちは、かけがえのない存在であり、全ての子どもが安心して暮らせる環境を整備することは、社会全体の責務です。県民の皆さんも我々と一体となって、全ての子どもが虐待から守られ、健やかに成長することができる社会の実現に向けて協力していただきたいです」中林さんは、そう強く呼び掛けます。
通告は疑いでも構いません。一本の電話で救える子どもがいます。地域のみんなで子どもを虐待から守っていきましょう。
取材協力:茨城県土浦児童相談所、茨城県保健福祉部子ども政策局青少年家庭課
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