
チャレンジいばらき県民運動が主催するいばらきチャレンジアワード「支え合い2024」が令和6年11月24日(日)に水戸市で開催されました。今回受賞した2団体の取り組みをご紹介します!

地域のネットワークの架け橋となるために活動する「チャレンジいばらき県民運動」
「チャレンジいばらき県民運動」では、新たに社会活動を始めたい方や、地域の団体・NPOと連携したい方の活動を応援するため、社会活動に必要なセミナーや相談会の開催、行政・企業・大学などと連携しての活動展開、ネットワーカー(地域活動員)等への社会活動助成など、様々な支援を行っています。
「少子高齢化が進む中、支え合う機会が減少して、地域の困りごとが増えてきています。私たちの団体を通して、社会の課題について真剣に考えて向き合っていくきっかけになり、実際に活動する方が増えてくるといいと思います」
そう話すのは、チャレンジいばらき県民運動事務局長の八巻和香さん。今回で3回目になる「いばらきチャレンジアワード」も、その課題に向き合うきっかけを作り、非営利の社会貢献活動を促進することを目的として開催されました。
茨城県内を活動の拠点としている個人または法人から、福祉・環境・SGDsの推進など各分野における多様な社会的課題を解消する活動プランを募集。そして一次審査を通過したファイナリストたちがプレゼンテーションを行い、様々な観点から最終審査が行われ受賞者が決定しました。

チャレンジいばらき県民運動 事務局長の八巻和香さん
令和版「駆け込み寺」を目指して
いばチャレアワード2024で知事賞に輝いた特定非営利活動(NPO)法人『ただいま』は、ひたちなか市中根の正安寺という歴史あるお寺で活動するちょっと珍しい団体。代表理事を務めるのは、第11世住職・坊守の増田夫妻。小中学生対象のフリースクール『ふらっと』や、子育て支援センター『なないろカフェ』、地域食堂など5事業を柱に活動しており、いつも、ここに集まったたくさんの子どもたちやママさんたちの賑やかで明るい笑い声が聞こえてきます。

<茨城県知事賞>
特定非営利活動法人ただいま 代表理事 増田真紀子さん
ひとりじゃない、みんなで子育てできる場所
増田夫妻の活動のきっかけになったのは、2011年の東日本大震災でした。
「大変な中で地域のママたちが不安そうなのを見て、皆で集まって話が出来て落ち着ける場所を用意できたら…と思ったんです。私も子育て中は孤独でした。だからみんなで子育てできる場所を作って助け合いたいなって」
そう振り返る真紀子さん。そんな想いに賛同する仲間と出会い、2015年に子育てカフェをスタート。そこからどんどん輪が広がっていき、集まる人や地域のニーズに寄り添っていくにつれ、活動の幅が広がっていったのです。

ひたちなか市にある真宗大谷派正安寺。本堂隣の会館が『ただいま』の活動拠点
人々が気軽に集い助け合える「ひらかれたお寺」として
「寺子屋」「駆け込み寺」という言葉もあるように、古来より寺院は地域住民が悩みや困りごとを相談できる身近な場所でした。いま、増田さんたちの活動を通じて地域の人々がお寺をかつてのように身近な場所として利用する姿は、既存の寺院のあり方を見直す新たなモデルとして全国からも注目を集めています。
「仲間や支援の輪がだんだん広がって、ちょっとずつステップアップしてきました。他の民間団体だけでなく市や大学とも連携するなど地域の協力体制もでき、門徒(檀家)さん達も温かく見守ってくれています。やりたいことはまだまだあります!」と真紀子さん。更に支援の手を広げるべく、仲間たちと共に前へと進んでいます。

なないろカフェの様子。手作りのランチ付で常に満員!なのだそう

いばチャレアワードでは地域への貢献度に加え、今後の継続性や発展性、全国寺院への波及性も高く評価された
「農業」で地域と共生し、障がいのある人のサポートを
今回、チャレンジいばらき県民運動理事長賞を受賞した『ユアフィールドつくば』は、仕事を通して障がいのある人をサポートするために、「農業」に焦点を当てた就労支援事業を行っています。そのひとつが就労継続支援B型事業所『ごきげんファーム』の運営。つくば市に4か所あり、有機栽培による野菜と稲作、平飼いの養鶏、竹細工作りと、これらの農園で採れた農産物を使ったお弁当を作っています。そのほか、発達障害の就学児を対象とした放課後等デイサービス『ブルーフロッグ』では、児童が農業を通じて四季を感じながら、自然に囲まれた環境の中で自由にのびのびと過ごし、自己肯定感や社会性が育まれるようサポートしています。

<チャレンジいばらき県民運動理事長賞>
特定非営利活動法人ユアフィールドつくば 代表 伊藤文弥さん

地元の方との交流が気軽にできるように様々なイベントを随時開催している
生産者の顔の見える心のこもったお弁当を販売する「ごきげんテーブル」
「放課後デイサービスのための施設を作るとき、その施設を日中に有効活用できないかと思い、みんなで作った農産物を使ったお弁当を作ることを思いつきました」
そう話すのは、代表の伊藤文弥さん。職員と障がいのある人が協力して作る、やさしく心のこもったお弁当が『ごきげんテーブル』の自慢。だから、賞を受賞した時は純粋に嬉しかったと喜びを口にします。
「おいしいだけでなく、安心安全なお弁当を提供することで、作り手の顔の見える関係性を作り、地域との絆を強くする事業と考えています」と胸を張ります。

職員と障がいのある人が一緒に作る「ごきげんテーブル」のお弁当は季節の野菜がたっぷり入って人気の品
つくばの地域に深く根づいた
誰もが安心できる「共生の場」を創る
その担い手であるために
つくば市議会議員も務める伊藤さんは、議員として行政面からも活動し、地域に深く根付く存在になるように支援を広げていきたいと考えています。
就労支援の質を向上させることにより、障がいのある人が心地よく、安定したメンタルで生活できることで地域にもよい影響を与えられるといいます。
「人々が障害の有無に関わらず共生できる場を提供し、現代人が失いつつある “人とのコミュニケーション” を作っていける、そんな事業を展開していきたいです」そう話す伊藤さん。目標の視線は、まだまだ先を見つめています。

審査では社会貢献性の高さのみならず耕作放棄地の活用も評価。今後の事業拡大への期待も寄せられた
この日、24件の応募の中からファイナリストとしてプレゼンに臨み、それぞれの取り組みと未来への想いを熱く発信してくれた全7名の団体・個人のみなさんたち。当日の詳しい様子は『チャレンジいばらき県民運動』公式サイトでもお伝えされていますので、そちらもぜひご覧ください!
チャレンジいばらき県民運動 公式サイトはこちら