現役高校生のプロスケーター吉川楓
楓くんとスケートボードとの出会い
(※内容は2017年9月25日時点のものです)
プロスケーターの吉川楓くんは、現在明野高校に通う16歳。5歳でスケートボードを始めたといいますから、スケートボード歴は12年目になります。
最近は幼少期から英才教育をしてきている一流アスリートが多い中、楓くんはテレビで見てスケートボードの格好良さに惹かれてお父さんにデッキ(板)を買ってもらったことが始まりとか。
お父さんの洋一さんも「スケートボードという競技は全然知らなかったので、とにかく試行錯誤でした」と苦笑い。
そして2年前の全日本アマチュア選手権で入賞を果たし、念願のプロデビュー。昨年には上海で行われたアジア選手権で優勝。
楓くんも「この2つの賞にはとても思い入れがあります」と言うぐらい、とても感動したそうです。このまま進めば世界制覇も決して夢ではありません。
16歳と言えばまだまだ遊びたい盛りの年頃に思えますが、1週間のうち5、6日はスケートボードに没頭する毎日だとか。週末は横浜や千葉に遊びに行くという楓くん。しかし、そこでも仲のいい友だちとスケートボードを楽しんでいるというから、よほどスケートボードが大好きなのだと伺えます。
国内戦が各地で開催されているELEMENT主催のスケートコンテスト『MAKE IT COUNT 2016』国内第4戦千葉県にて見事優勝したときの様子
活躍の裏側にあった家族の絆
お父さんと二人三脚で掴んだアジアチャンピオン
楓くんの活躍の背景には、お父さんの洋一さんの献身的なサポートがありました。
5歳から楓くんにつきっきりで一緒にスケートボードに取り組んできた洋一さん。今では少なくなりましたが、練習しに行くにも遠征するにも常に一緒に行っていたそうです。
「昔は練習場が近くになかったので、ほぼ毎日宇都宮まで連れて行っていました」と語ります。
楓くんがプロデビューを果たし、少しばかり賞金が入ってくるようになりましたが、それでも家計は火の車だとか。給料のほとんどを楓くんの遠征にあてているそうです。
見た目は普通の高校生の楓くん。しかし、ふと楓くんの腕に目をやると、たくさんのケガの痕が目につきます。
「ケガを怖がっていてはいい技は出せないです」と楓くん。プロデビューのきっかけとなった全日本アマチュア選手権では、腕にギプスをしたまま挑戦したそうです。
そんな苦労もしながら、洋一さんの支えもあって、アジアチャンピオンに輝き、世界制覇を狙える位置までのぼりつめました。現在は、日本代表の強化指定選手候補として期待されています。
これを機に、地元の応援を得て、世界に羽ばたいてもらいたいですね。
「アジアン スケートボーディング チャンピオンシップ2016」のストリート部門で優勝記念のボードを持つ吉川楓くん(訪問時は中学3年生)を激励する稲葉本治・下妻市長(左)と須藤豊次・下妻市議会議長(右) 提供:下妻市
プロも練習に使うスポット「Waiwaiドームしもつま」
スケートボード専用施設の設立に貢献した楓くんの存在
楓くんが練習に訪れているのは、今年の4月にオープンした「下妻市にぎわい広場Waiwaiドームしもつま」内にある「B.E.step125-shimotsuma-」というスケートボード専用施設。近隣にはスケートボード施設がないというだけあって、オープンからの注目度は上々。
楓くんも「近いところに競技できる場所があるのがとても嬉しいです!」と下妻市長に感謝しきり。今では近隣の小学生のスケーターが増え、放課後や土日になると、スケートボード好きが集まり、切磋琢磨しながら練習し合う風景を目にします。
実はこの施設ができたのも、楓くんの頑張りがあったからこそ。「スケートボードの練習場がほしい」と下妻市にお願いし続けたそうです。その甲斐あって、楓くんのスケートボードの実力も後押しになり、念願のスケートボード練習場が開設されました。
楓くんは、施設を作ってくれた下妻市への恩返しのためにも、「スケートボードで世界一になりたい」と胸の内を語ります。高校一年生という若さ溢れる青年が、世界一を目指して日々、技を磨き、練習に励む姿は、地域に活力を与えてくれるでしょう。今後も彼の活躍から目が離せません!
「下妻市にぎわい広場Waiwaiドームしもつま」
◎住所/茨城県下妻市下妻丁91
◎電話/0296-49-8884
●屋根付き多目的広場 Waiwaiドーム 6:00~21:00 ※専用利用は9:00~21:00
●地域交流センター わいわいハウス 9:00~21:00
●エクストリーム広場 9:00~21:00
休場日:火曜日、年末年始 ※駐車場・有料施設以外の日常利用は無休
スケートボードだけでなく、テニスやバスケット、フットサルなどもできる屋根付の多目的広場有り。
WaiwaiドームしもつまのHP
スケートボードの楽しみ方
歴史や競技の見所の紹介
スケートボードの歴史
スケートボードは、1940年代から1950年代にアメリカで発祥したと言われています。
日本では、1970年代に公園や駐車場でスケートボードで遊ぶ若い人たちが見られるようになり、このあたりから日本国内でも各地で大会が開かれるようになってきました。
この間ストリート系のファッションとしても流行しましたが、現在では、小さい子から楽しめるスポーツとして普及しています。
競技は2種類!
スケートボードの競技はパークとストリートの2種類あり、パークはボウルやプールなどといった丸い坂を組み合わせたコースで技を競い合います。
ストリートは、街中に存在するような階段や縁石、斜面や手すりなどを模したコースを使用します。
楓くんはこのうちストリート部門に挑戦しています。
スケートボード競技の見どころって?
見どころは何と言っても技の難易度やジャンプの高さにあります。
楓くんの得意技はレール(手すり)系の技。実際の大会では、5人の審査員が採点し、2本滑っていい方の点数が採用されます。
回転しながらジャンプするなどの難易度の高い技(トリック)を華麗にキメると高得点になったり、スピードやオリジナリティなども評価の対象となっています。
↑楓くんが使用しているスケートボード。裏側を見ただけでこれまでの努力が伝わってきます。
K/S FS BOARDSLIDE(キックフリップ フロントサイド ボードスライド)
ジャンプして後ろ向きにレールに乗り、滑る技です
吉川 楓 プロフィール
プロフィールの他にinstagramもチェック!
茨城県下妻市出身。2001年4月13日生まれ。
2006年にスケートボードを始める。スタンスはグーフィー(右足の方が通常の進行方向になる乗り方)。
2016年に中国の上海で行われたAsian Skateboarding Championshipsで優勝。AJSA公認プロスケーターとなる。
あどけない笑顔からは想像のつかない、難易度の高いスケートボード技がテンポ良く繰り出される。
吉川楓くんのInstagramはこちら!