結いのおと～音色で紡ぐ地域の輪～

『結いプロジェクト』の発起人である飯野勝智さんは、「当時、自分が生まれ育った街をもっと魅力ある街にしたいという使命感がありました。町おこし自体も、今の時代にあった形で、僕らと同じ世代の人たちが受けとめてくれる情報をここから発信しなければいけないと思っていました」と6年前を振り返ります。
　2010年、商工会議所の職員として結城市を活性化させようと努力していた野口純一さんは、積極的にまちづくりを考える飯野さんと出会います。二人の出会いはその後の結城市の未来を大きく変えるものでした。

『結いのおと』を開催するにあたり、1回目の立ち上げでは大変な苦労があったといいます。
「一件一件、飯野さんと二人で商店街の方に会いに行って、その都度こちらの趣旨を説明していくことを繰り返していきました。『結いのおと』については会場の候補地となる地元の店舗さんの協力が不可欠ですから、こちらの望んでいることを正確に理解していただくことが必要でした。さらに来場者のチケットの販売もあるので、毎日本当に大変でした。チケットについては毎回自腹を切る覚悟で臨んでいました」と笑う野口さん。飯野さんは当時を思い返し、「会う度、野口さんの顔色の悪さが気になってしまうほど、その当時は大変でした。こちらが思い描く『結いのおと』は、結城を象徴する魅力的な建物や空間を会場としているので、ライブハウスでもフェス会場でもない、街のど真ん中で音楽祭を行うことに対しても、出演者の方に『結いのおと』の趣旨を理解してもらうことが必要でした」と語ります。
　しかし、回数を重ねて街の人やアーティストの方と関わっていくなかで、地元の方々の理解と協力を得られていったといいます。「今こうして『結いのおと』が開催できるのは、ボランティアをはじめとする地域の方や出演者さんの理解と協力があってこそだと思うので、このイベントに関わって下さるすべての方に心から感謝しています」と二人は口を揃えます。たくさんの方の協力のもとに開催される『結いのおと』。歴史と風情が漂う街で、結城ならではの奥ゆかしさと雅やかな音に包まれてみてはいかがでしょうか。