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暑さを凌ぐための先人たちの知恵

(※内容は2017年7月25日時点のものです)

夏の風物詩ともいわれるよしず。日光を遮りながら風を通す役割があることから、玄関や軒先で立てかけて使われている他、海の家や出店などの日よけとしても利用されています。

原料となるヨシは、外側は熱が伝わりにくい構造となっており、内部もストロー状の空洞のため断熱効果も高いという利点があります。さらに、遮光をしながら隙間から涼しい風を取り込むことができます。

よしずの起源は定かではありませんが、江戸時代頃から使われていたといわれています。ヨシの利点を生かし、夏の暑さを凌ぐために趣向を凝らした先人たちの知恵は、今日に至るまで受け継がれています。

貴重な湿地環境を誇る渡良瀬遊水地

ヨシはイネ科ヨシ属の多年草であり、温帯から熱帯の湿地帯に多く分布します。ヨシの産地は全国的にありますが、なかでも渡良瀬遊水地は良質なヨシが育つ場所として有名です。

遊水地では、毎年12月からヨシの収穫が行われ(ヨシ刈り)、3月中旬には立ち枯れたヨシをすべて焼き払うヨシ焼きが行われます。当初はヨシの表面についた病害虫の駆除を目的に行われていましたが、ヨシ焼きをすることで土壌の活性化にもつながり、より良いヨシが育つといわれています。さらにヨシ焼きは遊水地に生息する希少価値の高い動植物の生態系を守る効果もあり、渡良瀬遊水地はその貴重な湿地環境が評価され、ラムサール条約にも登録されました。

渡良瀬遊水地産のよしず作りにかける想い

明治40年以降、遊水地周辺の農家の人々が農閑期の冬の副業としてよしず作りを盛んに行い、大きな産業として発展していきました。しかし昭和50年頃、中国から安価なヨシが輸入されるようになり、よしず産業は衰退していきました。さらにビニール製品が普及しはじめ、現在に至っては遊水地周辺でよしず作りを行っている方は数軒程に減少してしまったといいます。

昭和20年より70年もの間、遊水地産のよしずを作り続けてきた栗田商事の三代目となる栗田好弘さんは、よしず作りに対する想いについて「私の祖父が開業してから、ずっとこの仕事をみてきたので、よしず作りに対して愛着はあります。子どもの頃、父に連れられて遊水地のヨシ刈りにいくと、みんなが可愛がってくれて、温かい場所だなと感じたことを思い出します。現在、遊水地産のよしずを作っているのは、野木町では私ども1軒となってしまいましたが、自分にとってよしず作りは思い入れの強いものなので、できる限り後世に残していきたいです」と熱い胸の内をを語りました。

職人の技が光る栗田商事のよしず

国産のヨシは物持ちが良く、大切に扱えば5年以上の利用も可能であるといわれています。栗田商事で作られるよしずは、品質はもちろん、見た目にも美しく、職人の技が光る逸品として、新宿御苑や浜離宮恩賜庭園などでも使用されています。2014年には、渡良瀬遊水地のヨシを使用した国産よしずとして野木ブランドにも認定されました。

また、栗田商事は中国産のよしずの輸入にも力を入れており、初代の社長は自ら中国へ赴き、現地の人々に技術指導を行っていたそうです。仕上がりの美しさはもとより、そうした取り組みが評判をよび、大型量販店の一部で販売されているよしずは栗田商事が輸入元を任されているといいます。

『お客様を大切に』という社訓のもと、真心込めてつくられる栗田商事のよしず。毎年、遊水地産のよしずを購入されたお客様からうれしいお声をいただいているという栗田さん。「以前購入していただいたお客様で、私どものよしずを7年間使っていただき、『良かったからまた同じものを購入します』というご連絡があったときは、とてもうれしかったです。こういったお客様からのありがたいお声を聞くと、よしず作りを続けていて良かったなとやりがいを感じます」と笑顔をみせました。お客様からの「使ってみてとても良かった」というお声が、本当に励みになるそうです。

お客様の心に寄り添いながら、親子三代で守り抜いてきた栗田商事のよしず。今年の夏は、風情漂う遊水地の国産よしずで、涼風を堪能されてみてはいかがでしょうか。

~よしずができるまで~

1. ヨシ狩り
ヨシ焼きを行うまでの12月~3月中旬までの期間、専用の機械で収穫します。刈ったヨシは倉庫へ。

2. ヨシの皮むき
収穫後、機械により、ヨシの皮むきをし、きれいにします。機械がなかった時代は手作業で行っていたそうです。

3. 選定
曲がりが強いものや長さが不揃いのものをはじきます。このとき皮が残っているものは手作業で皮をむいていきます。

4. 長さを揃える
ヨシの長さを切りそろえます。ヨシを切る機具は身長ほどの大きなものから小さなものまであり、用途で使い分けます。

 

5. ヨシを編む
機械を使い、ヨシを棕櫚縄で編んでいきます。よく見ると2本ずつ編まれています。

6. よしず完成
丈夫でツヤのあるよしずが完成します。大切に扱えば5年以上の利用も可能だといいます。

<会社情報>

栗田商事株式会社

住所/栃木県下都賀郡野木町野渡903
TEL/0280-55-0465

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