世界で認められた腕を持つ天才ピザ職人
世界大会5連覇達成!
(※内容は2017年5月25日時点のものです)
音楽にのせてダイナミックに生地を回転させるのは、技術を競い合う世界大会で5大会連続優勝を果たした世界チャンピオンの赤荻一也さん。
背面から生地を交互に投げたり、腕先から肩をつたって2枚の生地を交差させるなどして、まるで新体操競技を見ているかのような、芸術性の高いパフォーマンスで人々を魅了していました。
赤荻さんが作るピザは、遠心力を使って生地をのばすフライング製法を用いて、日本人の好みに合う原料の配合や発酵状態に至るまで研究を重ねて作られているため、モチモチとした食感とコクのある味わいが魅力です。
人生を変えた子どもたちとの出会い
突然訪れた大きな転機
赤荻さんは、蕎麦屋を営んでいた父のもとで幼少期から蕎麦作りを学んでいましたが、調理師専門学校進学を機に、イタリア料理を専攻します。
卒業後、イタリアンレストランに就職した赤荻さんに大きな転機が訪れます。
勤務先に貼られていた、イタリア人がピザ生地を投げて回転させているポスターを目にした赤荻さんは、見よう見まねで同じことを試したといいます。
するとお店に来ていた子どもたちがその場面を見て、感嘆の声をあげました。
赤荻さんは「子どもたちが喜んでくれている姿を見ながら、僕自身が子どもたちの笑顔に感動をもらっていることに気付いたんです。そこからこの仕事が面白くなって、ピザの調理と技術を追求しはじめました」と人生を変えた出会いについて語ってくれました。
アクロバティックなピザ回しには、ピザ作りの高い技術も必須です。右の生地が赤荻さん作、左が編集部スタッフ作。同じ量の生地なのに、仕上がりは一目瞭然。赤荻さんは自身の店で出している生地の配合や発酵も独自で決めており、すべて店内で仕込みをしています。
子どもたちの笑顔を胸に世界の頂点へ
努力をすれば世界が掴める、努力することは無駄じゃない
ピザの調理技術を競う世界大会があることを知った赤荻さんは、子どもたちの応援を糧に出場を決意します。
しかし2005年のイタリア大会に初出場を果たすも、予選敗退。独学で磨いた技も世界の壁には遠く及びませんでした。
その日から、営業終了後の店内で、明け方の4時頃まで、原料の配合の研究やピザ回しの練習に励み、朝9時には業務開始という生活が4年間続いたといいます。
その間世界大会に毎年出場していましたが、思うようにいかない結果が続きました。努力しても結果が出せず、心が折れそうになったときお店に来てくれる子どもたちや応援してくれている人たちの笑顔が浮かんだといいます。
万感の思いで迎えた2008年のイタリアの世界大会。
全力を出し切ったパフォーマンスで、日本人第1位、世界ランキング第7位という快挙を成し遂げます。さらに翌年、アメリカで行われた世界大会では、ロンゲストスピン部門にて初優勝を果たしました。
その後も赤荻さんの快進撃は止まらず、2009年から2013年まで、同大会において前人未到の5連覇を達成しました。
2013年に開催された『World Pizza Games in Vegas Freestyle Acrobatics-Masters Division(ワールド ピザ ゲームズ イン ベガス フリースタイル アクロバット マスターズ ディヴィジョン)』というチャンピオンズリーグでは、悲願の優勝を果たし、ついに世界の頂点へと登りつめたのです。
さらに同年、ピザ調理の技術が認められ、イタリアの世界大会では料理部門の審査員として招かれ、名実ともに世界一となりました。赤荻さんは「世界チャンピオンになれたのは、僕を信じて応援してくれた子どもたちのおかげです。こんな自分でも、努力をすれば世界が掴める、努力することは無駄じゃないということが証明できました」と笑顔をみせます。
優勝したWorld Pizza Games in Vegas Freestyle Acrobatic s - Masters Divisionの表彰式
支えてくれたすべての人に感謝の心を届けたい
和食とイタリアンが融合した『和CUORE(ワクォーレ)』をオープン
2014年、イタリアのピザ専門学校として名高い『Pizza News School』 にて調合と技術の高さを認められ、日本人初となるMASTERの資格を手にした赤荻さん。翌年には現地の学校に招待され、イタリア人生徒にピザの調理やフライング製法などの講義を行い、日本のみならず、世界で活躍するピザ職人のパイオニアとなりました。
帰国後の2014年、和食とイタリアンが融合した『和CUORE(ワクォーレ)』をオープンさせました。
なぜ和食とイタリアンを融合したのかと尋ねると、「僕を応援してくれた、お子さんからお年寄りまでのすべての方に感謝の気持ちを届けたかったからです。僕からの恩返しとして、幅広い年齢層の方にお食事を楽しんでいただきたいという願いが込められています」と答えました。
子どもたちからもらった感動を胸に、世界を手にした赤荻さん。どんな状況下においてもあきらめない不屈の精神は、次世代を担う子どもたちへと、脈々と受け継がれていくことでしょう。
■和CUORE 古河店
住所/古河市西牛谷1704-5
電話/0280 -33 - 6208
ランチ11:00~17:00
ディナー17:00~23:00(L.O.22:00)
☆詳しいお店情報はこちら
赤荻一也さんプロフィール
日本のみならず、世界で活躍するPIZZA 職人
1981 年古河市生まれ。2008 年イタリアで行われた、ピザ技術を競い合う世界大会『pizza world championship』に出場し、日本人 1 位、世界 7 位入賞を果たす。
2009 年にアメリカの『World Pizza Games』に出場し、ロンゲストスピン部門で世界チャンピオンに輝く。2009 年から 2013 年まで 5 連覇を達成。
2013 年 4 月にアメリカで行われた『World Pizza Games in Vegas Freestyle Acrobatics-Mas ters Division(ピザのアクロバット部門チャンピオンズリーグ)』にて優勝を果たし、世界にその名を轟かせた。同年、イタリアで行われた世界大会で料理部門の審査員を務める。
2014 年にイタリアで名高いピザの専門学校『Pizza News School』にて日本人初となるMASTER(講師の資格)を取得。
帰国後、母校の国際テクニカル調理師専門学校に国内初の『ピザ職人養成コース』を開講し、次世代の育成にも力を注ぐ。
同年、『和CUORE(ワクォーレ)』をオープン。現在古河店を含む4 店舗を経営する。
2015 年にはイタリアの『Pizza News School』に招待され、イタリア人生徒向けにピザの講義を行う。