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鹿島宇宙技術センターって?

国立研究開発法人情報通信研究機構

(※内容は2017年6月25日時点のものです)

茨城県鹿嶋市にある鹿島宇宙技術センターは、1964年に郵政省電波研究所鹿島支所として開設。現在は国立研究開発法人情報通信研究機構という国の研究機関の一員です。
同センターは開設初年、アメリカの人工衛星を使用して東京オリンピックの映像を世界へ発信。初のオリンピック衛星中継に成功するという歴史的快挙を成し遂げました。
その後は次々と打ち上げられた日本産放送衛星(BS)、通信衛星(CS)など、国産衛星通信システムの実用化に向けた実験の中心的存在に。

また、同センターは人工衛星を用いた情報通信だけでなく、宇宙電波を解析した天文分野でも大きな功績を残しています。
それは、数十億光年の彼方から届く電波を利用し、数千キロも離れた2点間の距離を数ミリの誤差で測るという技術。この測量技術(VLBI)を1977年頃から日本で初めて実験を開始したのも、ここ鹿島宇宙技術センターでした。

このVLBI観測の実績が認められ、2002年に日本の緯度と経度の基準がこの鹿島宇宙技術センターに変更。日本地図にその名を刻みました。
私達が当たり前のように利用している衛星放送や正確な位置を測るための基礎技術がこの鹿嶋の地で研究されているのです。

センター内の「宇宙通信展示館」では、いつでも研究の成果や内容が見られる

地球上どこでも繋がるブロードバンド通信を目指す

宇宙通信研究室 WINDSプロジェクト 高橋卓さん

科学が常に身近にある家庭環境で生まれ育ち、現在はセンター長を務める髙橋卓さん。

これまでは超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)を利用した研究に取り組んできました。
具体的には、アジア太平洋地域内の地上ならば、一般住宅でも設置できるようなパラボラアンテナでどこでもインターネットが使える研究。これを活用し、東日本大震災の被害を受けた宮城県気仙沼市や松島町で実際に情報通信支援を行いました。そして現在、情熱を注いでいるのは、2021年に打ち上げ予定の次世代ブロードバンド通信衛星のシステムや技術開発の研究です。

今度の通信衛星は地上だけでなく、空や海も守備範囲に含まれます。つまり、地球上どこにいても、現在の一般家庭のインターネット通信と同レベル(1秒間に100メガビット)の大容量データの送受信が実現できる仕組みです。
そのために開発しているのが「デジタルチャネライザー」。これは電波と光通信を組み合わせて、効率良く衛星とのデータ送受信量を振り分ける技術です。例えば、携帯電話が繋がりにくくなっている被災地に、ピンポイントで使用できるデータ量の割当を増やし、混雑を改善することも可能に。

また、船舶や航空機の移動に合わせて通信エリアを変更する「デジタルビームフォーマー」も実現すれば、常に空や海でネット環境が保たれるようになります。髙橋さん達は、海や空での使用に適したそれらの通信装置の開発にも着手。
一般公開に向けて髙橋さんは、「世の中は未知に溢れている。子供達には科学はもちろん、色んなことに興味を持って貰いたいです」と語ってくれました。

世界一の光通信装置を衛星に 宇宙ゴミの実態の解明へ

宇宙通信研究室 人口衛星軌道研究 布施哲治さん

人工衛星の軌道を研究中の布施哲治さんが今、主に取り組む研究は、大きく2つ。
まずひとつ目は2021年に打ち上げ予定の実験用人工衛星に搭載を予定している、1秒間に10ギガビットクラスの送受信を実現する高速光通信装置(HICALI)の開発です。
私達の一般家庭での光通信は毎秒約100メガビットなので、およそ百倍の速さでデータのやりとりが出来る装置となります。人工衛星に搭載する機材は一度搭載してしまえば交換不可。そのため、サイズや重量、放射線、激しい温度差など過酷な宇宙空間に耐えられる素材選びから構造に至るまで、あらゆる対策を練らなければなりません。
しかし成功すれば、宇宙環境に耐えられる世界最速の光通信を実現し、今後の宇宙・航空機の大容量の通信に応えられる画期的な技術となる可能性を秘めているのです。

そしてもうひとつの研究はスペースデブリの現状把握。スペースデブリとは、運用終了した人工衛星やロケット、その破片など地球の衛星軌道上を周回している不要な人工物のこと。宇宙ゴミとも呼ばれています。
それらがもし宇宙ステーションや人工衛星に衝突すれば、大惨事になりかねません。しかし日本はそのデブリの種類や軌道などの状況を把握出来ていないのが現状。そこで布施さんはセンター内の大型望遠鏡などを用いて、その実態の把握に努めています。

 「宇宙や人工衛星は、答えがわからないことが多いから楽しい。その現場の面白いことを知っている人が面白い話をしないとね」。と語る布施さん。
一般公開にも参加予定で、自身の研究や宇宙のあれこれをわかりやすく紹介してくれる先生のひとり。この機会に直接質問してみてはいかがでしょうか?

地球のあらゆる指標となるVLBI観測に着手

時空標準研究室 次世代計測プロジェクト 関戸衛さん

アインシュタイン博士の相対性理論や電気の流れをコントロールする部品・トランジスタに興味を持った関戸衛さん。

光の速さで世界を見てみたいと科学者への道を志しました。
所属する電磁波研究所の時空標準研究室では、同センターのシンボルである34mパラボラアンテナを活用し、VLBIを用いた国際的なネットワーク観測に参加。そのデータを共同研究を行う国内外の各機関に提供しています。

そんな世界各地から集められたデータを解析すると、各国にある計測地点の正確な位置を把握できます。それを活用すれば、地球の自転軸の方向や自転速度もわかります。
今年の元旦にうるう秒が挿入されましたが、これは自転周期の10万分の1秒の変化もキャッチできるVLBI観測の賜物。地球姿勢の計測を通じて、世界の時刻の管理にも貢献しているのです。

また、電波天文学や測地学の共同研究にも活用される巨大アンテナの感度を更に上げるために、電波を記録する観測機器やデータの高速転送技術を開発。さらに、解析精度を上げるソフトウェア開発にも注力しています。
また、観測した電波を解析するために必要不可欠な正確な1秒を、より正確にするための開発も実施。そして関戸さん達は、従来よりも幅広い周波数を観測できる世界最小の受信機開発にも成功。様々な開発が、各国と共同して進められているのです。

関戸さんは子供達が科学に興味を持つには、「ガラスフロート温度計」のようなおもちゃに触れさせてみては、と語ります。
「『これは何なんだろう?』と気付きを得ることが大事。是非、我々のアンテナを見に来て下さい」と見学を呼び掛けています。

鹿島宇宙技術センター

一般公開~電波の仕事を見てみよう!~

「災害現場で活躍する衛星通信」、「見えない光で伝えよう」、「34mアンテナを知ろう!」など研究者達がわかりやすく解説!子供工作教室「FMラジオを作ろう!」も実施!(先着80名、当日整理券配布、10歳以上対象、無料)。入場無料なので気軽に参加しましょう♪

日時◎2017年7月29日 10:00~16:00
場所◎鹿島宇宙技術センター(茨城県鹿嶋市平井893-1)
電話◎0299-82-121

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