【いばナビ】ホーム > 茨城イイトコナビ > 鹿島・神栖 記事一覧 > 茨城県郷土工芸品指定 奥深き籐工芸の世界に迫る「ラタンファニチャー堀江」の手仕事

古くから日本で愛用される東南アジア原産の籐

多くの人々に愛される籐製品

(※内容は2017年7月25日時点のものです)

籐は、マレーシアやインドネシアなど東南アジアを中心とした熱帯、亜熱帯に生息するヤシ科の植物。
軽くて弾力性があり、濡れると滑りにくく、臭いを吸収するなど数々の特徴があります。
日本でも古くから武具に活用され、飛鳥時代には弓の持ち手、鎧のかがり、江戸時代には編み笠、枕などに用いられてきました。現代でも家具や日用品に加工され、多くの人々に愛用されている馴染み深い素材の一つです。

籐の仕入れ、加工から販売まで全て手掛ける工房は、全国でも数える程しかないのだとか。

小学生時代から始まった籐工芸士への道

籐工芸の技術を自然と習得

堀江さんと籐の出会いは、1950年。父を戦争で失い、籐の加工場を営んでいた東京の親戚の家に家族で身を寄せたことから始まります。当時の堀江さんはまだ小学生になったばかり。
しかし家計を助けるため、兄弟らと共に籐工芸職人へ藤の配達を始めました。
その時、行く先々でじっと職人の手先を見つめていたという堀江さん。籐工芸の技術を自然と習得していったと言います。

「学校の勉強や宿題をやるよりも、仕事を優先していた小学生時代でしたね。籐製品の技術は職人に教えてもらった訳ではないのですよ。骨を折って覚えたのではなく、気付いたら身についていたんです」

収納カゴ、ベッド、バッグ、枕、イスなど、あらゆる商品はオーダーメイドの依頼ができます。

中学卒業と同時に職人の道へ

そして小学校高学年から製作を始めた堀江さんは、中学卒業と同時に職人の道を歩み始めました。
その頃はすでに、年の離れた兄弟子たちに教えられる程の腕前に。
1969年から千葉県銚子市で兄弟達と籐製品を作り始め、1990年5月に母方の故郷である波崎の地でラタンファニチャー堀江を立ち上げました。
籐の調達から、製品のデザイン、加工、製作までワンストップで手掛ける工房として、独立したのです。
職人歴約70年の中で、家具や用品など、あらゆる籐製品を手掛けてきた堀江さん。過去には皇太子殿下のための敷物や籠を納めたり、愛知県の愛・地球博記念公園内にある人気アニメ「となりのトトロ」に登場する籐のイスを再現したことも。
確かな手仕事と機能美を追求した商品達は、全国各地の百貨店や大手通販サイトなどで取り扱われ、根強い人気を博しています。

「私は作家ではなく、職人。お客様が私の一番の師匠であり、飯を食わしてくれる人ですし、お客様への思いは人一倍ですよ。だから、お客様の評価でどんどん腕が磨かれていったのだと思いますね」

子、孫、世界へと引き継がれる籐に命を吹き込む熟練の技法

全国各地にファンを持つ堀江さん。商品は工房で直売している他、ネットでも購入できます!

「ラタンファニチャー堀江」は、通気性が優れた快適なまくら、軽くて丈夫なつかまり立ちの杖など、多種多様なオリジナル商品があります。

特にハンドバッグは、エレガントな色合いや光沢感、スタイリッシュな台形のフォルムを持ち、なおかつたっぷり収納できる絶妙なサイズ。堀江さんが「職人としての集大成」と位置づけている代表作です。
洋服と和服の両方に似合って使いやすいと評判になっているラタンファニチャー堀江のロングセラー商品で知られています。

「サイズやデザインは職人の勘ですね。新しい商品を作る時は、『自分なら買うだろうか?』を基準にします。だって材料に命を吹き込む訳ですから。それがないと絶対にいいものが作れないですよ。その上でお客様のニーズに応えていきたいです」

現在、海外の安価な籐製品が輸入され、全国でも数える程しかいなくなったという籐工芸士。
しかし堀江さんの熟練の手技は、息子の正壽さん、孫達に引き継がれ、三世代でラタンファニチャー堀江の商品を生み出しています。
そして東京都伝統工芸士であり、その作品が茨城県郷土工芸品に指定されている堀江さんは、JETRO(日本貿易機構)、JICA(国際協力機構)を通じて、日本の籐工芸の技術を世界に発信する活動も継続中です。

「この約70年間本当に多くの甘い、しょっぱいを経て、今日がある訳です。今でも、たたみの上のコメツキムシのような仕事をしていると思っていますよ。でも、苦労して、切磋琢磨して、人の縁に恵まれて、ここまでやって来れた。倒れるまで、この工房で仕事をしたいですね」

76歳になった今でも毎日8時間、製作に没頭する匠。
世代を越えて一人でも多くの人に長く愛される籐工芸を届けるため、職人の日々はこれからも続いていきます。

実際の作業の様子

ハンドバッグは、オリジナルの木型を用いて編み込まれていく。木型は提灯の製作をヒントに独自で考案したもの。ボルトを緩めれば、バラバラに解体できるよう工夫されている。籐は自然素材を使って染める。

自転車のタイヤ部品を加工した金具を先端に付け、1本1本編み込んでいく。作業に使う道具のほとんどが自らハンドメイドしたもの。「鍛冶屋の真似事のようなことも、せにゃいかんのよ」と堀江さん。

ハンドバッグには、縦横交互に編んだ「網代編み」や籐を縦に繋ぎ合わせる「籐むしろ」の技法を施す。職人歴約70年の堀江さんでも、1個あたり最低10時間を要する。耐久年数は約30年で、修理は無償で行う。

ラタンファニチャー堀江

工房での直売と、ネットでの購入も受付ています!

【住所】神栖市波崎6538-8
【営業時間】8:00~17:00
【定休日】土曜日、日曜日
【電話】0479-44-4848
https://rattanhorie.stores.jp/

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