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茨城県北芸術祭 特別インタビュー

茨城県北芸術祭の中でも、ひと際注目を集める作家のひとり。それが、生物との協働作業によって作品を作り出すアーティストAKI INOMATAさんです。
彼女の代表的な作品は3Dプリンタで世界各国の都市を模したヤドカリの殻を作り、そこにヤドカリに住んでもらうというもの。ヤドカリと宿(殻)の関係は、人と国の関係に良く似ています。宿を代わる代わる交換していくヤドカリを見て、国境を飛び越える人をイメージ…。そこで、彼女はヤドカリの宿に、世界各国の都市をかたどるような作品を作ることに。
そんな作品を作るINOMATAさんと、茨城県北芸術祭を裏側で支えるキュレトリアルアシスタント國分郁子さんにインタビューさせて頂きました。

(※内容は2016年8月25日時点のものです)

KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭参加アーティスト AKI INOMATAさん

現代芸術作家

1983年 東京生まれ
2008年 東京藝術大学大学院先端芸術表現専攻修了
2012年 第15回 岡本太郎現代芸術賞 入選
2014年 YouFab Global Creative Awards 2014 グランプリ

現在、多摩美術大学情報デザイン学科非常勤講師、早稲田大学理工学 術院電気・情報生命工学科嘱託研究員を務めながら制作活動中。

今回の茨城県北芸術祭の展示内容について教えてください。

「09年の在日仏大使館ではじめて展示したシリーズである、3Dプリンタを使ったヤドカリの宿とヤドカリを展示する予定です。今回は中央にヤドカリを配し、周囲にニューヨークやバンコクなど各国の都市を模した宿を展示しようと思います。ヤドカリが主役なので分かりませんが東京の宿を背負ってくれたら嬉しいです。また、会期中ヤドカリが引っ越しをしてくれたら面白いですね。いま、制作中のベルリンも間に合えば展示したいと考えています。」

展示会場であるうのしまヴィラを訪れた感想を教えてください。

「とても素敵なところだと思いました。わたしの作品であるヤドカリも海の生物ですから、海が見える場所で展示ができるのはとっても嬉しいです。自分のテーマである国境も、日本では海の向こう側ですし、ロケーションと作品の相性は凄くいいですよね。
また、地元の人にはぜひ何度か観にきて頂きたいです。海の景色が変わると作品のイメージも変わるし、ヤドカリですから期間中成長や宿替えなどもあるかもしれません。楽しんでもらえれば嬉しいです。」

茨城県北芸術祭を楽しむポイントを教えてください。

「現代アートというと難解なものが多いというイメージの人もいるかもしれません。でも、作品の裏側にあるテーマなどは、見た人が感じたように楽しんでもらえればと思います。
今回の茨城県北芸術祭はコンセプトがハッキリしているので分かりやすい作品が多いと思います。特に【テクノロジー】と【アート】の融合が大きなテーマに挙がっています。地元の発酵菌を使った作品なども展示されるので、『これが〇〇の菌で作られているんだ』など、土地柄から入っても面白いかもしれませんね。」
     ◆ ◆ ◆
「現代アートは美術史を知っているともっと楽しめるかもしれませんが、そればかりではありません。特にわたしの作品はお子さんからご年配の方まで楽しめる作品だと思っています。
会期中はわたしも何度か会場を訪れる予定です。ぜひ皆さん作品を鑑賞しにいらっしゃってください。」

AKI INOMATAさんの作品は「うのしまヴィラ」に展示されます!

ヤドカリの飼育には日立の海水を使用予定!海水の調査 をするINOMATAさん

茨城県北芸術祭の展示会場のひとつにもなっているうのしまヴィラ。市内でも有数のリラクゼーションが味わえるステイ型ホテルです。
芸術祭期間中もランチで人気のカフェ&ダイニング海音-sea・ne-は営業!美味しい料理とINOMATAさんの作品を楽しむことができるおすすめスポットです♪
ちなみに、オーナーの原田さんは難関茨城県観光マイスターS級に合格した観光のエキスパート!他の展示会場の情報もぜひ聞いてみてください。

うのしまヴィラ
電話:0294-42-4404 
住所:日立市東滑川町5-10-1
http://ibanavi.net/shop/5425/

シーネ
営業時間●ランチ)11:30~13:30LO
カフェ)13:30~15:30LO
http://ibanavi.net/shop/5407/

KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭キュレトリアルアシスタント 國分郁子さん

現代美術家

1982年 千葉生まれ
2010年 東京藝術大学大学院美術解剖学専攻修了

生物を実験的環境下に置く施設を意味する「BIOTRON」をコンセプトに新しいサーカスを研究している美術作家のひとり。
開催準備期間は、日立市内の事務所に暮らして、生活の全てを茨城県北芸術祭に捧げるキュレトリアルアシスタントです。作品と人がつながる、今回の茨城県北芸術祭のコンセプトに共感していまなお鋭意奮闘中!

日立市における茨城県北芸術祭の展示内容に関して教えてください。

「日立市には、本芸術祭のキャッチコピー『海か、山か、芸術か?』の中にもある、海も山もあるのが特徴だと思います。
そんな大自然を作品の中に借景として取り入れるのか?
それともINOMATAさんのように大自然をそのまま作品に取り入れるのか?
作家ごとに場所へのアプローチ方法が違うところが面白いです。
常陸多賀商店街のように期間中のワークショップで作り上げていく作品もあります。多くの人が参加して、たくさんのパワーが集まってくれたら、こんなに嬉しいことはありません!」

期間中日立市の作品の中で、國分さんが注目している作品はありますか。

「INOMATAさんはもちろんですが、展示場として用意できた中で特に印象的だったのは御岩神社さんです。
神聖な場所ということもあり、どのような作品を展示するのがふさわしいか悩みましたが、アーティストとロケーションが互いに引き合うように2人の作家が決まりました。
ひとりは神話や神秘的な信仰が現代の生活にどう影響しているかの問いを絵画で表現する岡村美紀さん。そして空気と光を繊細に取り入れた空間インスタレーションを見せてくれる森山茜さんです。
他にも日立電鉄のバスをビオトープにするテア・マキパーさんの作品にも期待しています。」

県北芸術祭開催地域でもある日立市民の皆さんに向けて、茨城県北芸術祭の楽しみ方を教えてください。

「ぜひオススメしたい楽しみ方があります。ひとつは常陸多賀商店街で開催される力石咲さんのワークショップ。会期中、どんどんニットを編んでいき商店街をニットで侵略していきます。
また、家電を楽器にして音楽を奏でるミュージシャン和田永さんも同商店街を拠点に楽器作りに励みます。
芸術祭のクライマックスではオーケストラを編成し、演奏を披露する予定です。ぜひ、『観る』作品と『参加する』作品、両方の魅力に触れて頂きたいです。ワークショップなどの告知は、県北芸術祭公式サイト等でお知らせします。
皆で協力して工作をする感覚で気軽に参加して下さい!この芸術祭をひとりでも多くの方に、仲間を作る場としても活用してもらえれば嬉しいです。」

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