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’64東京オリンピック「女子バレー」金メダリスト・東洋の魔女 寺山恵美子さん

「リオ五輪」直前!日立市在住の「東洋の魔女」に聞いてみた

「リオ五輪」直前!日立市在住の「東洋の魔女」に聞いてみたいまさら言うまでもありませんが、今年8月。地球の裏側ブラジルで「リオデジャネイロオリンピック」が行われます。今回は、28競技306種目が競われるそうですが、日本国民の関心がひときわ高い競技はといえば…。何といっても「女子バレー」です。というわけで、今回は、1964年の東京オリンピック「女子バレーボール」金メダリスト。日立市にお住まいの「東洋の魔女」寺山恵美子(旧姓・宮本)さんの登場です。当時のこと、日立のこと、4年後に行われる東京オリンピックのこと…。じっくりお話伺います。

(※内容は2016年6月25日時点のものです)

寺山恵美子(てらやま えみこ)※旧姓・宮本 元女子バレー選手。1964年「東京オリンピック」女子バレー ボール日本代表。金メダリスト。1962年「世界選手権」においてMVP。「世界一のアタッカー」と呼ばれました。

強豪チーム「日紡貝塚」入社! しかし、丸2年間補欠…。

「東京オリンピック」優勝時、大松監督を 胴上げする東洋の魔女たち。(写真:寺山さん所蔵)   【東洋の魔女とは…】「東洋の魔女」とは、かの東京オリンピックで、 金メダルを奪取し、日本中の話題をさらった女 子バレーボールチームのこと。しかし、実はオ リンピックの3年前、チェコで開催された「三 大陸選手権」などの欧州遠征で22戦全勝をし た実業団「日紡貝塚」の女子チームにつけら れた愛称だったそう。回転レシーブを駆使し てボールを拾いまくる姿にソ連( ※ )の新聞が 「まるで魔法使いのよう」と書いたのが始まり だったといいます。スパルタで鳴らした「鬼の 大松」こと大松博文監督は、厳しいだけではな い優しさも併せ持っていたそう。練習が終わ れば、冗談を言い合い笑顔が絶えない関係で あったといいます。監督ではなく「先生」とよ ばれていました。 ※「ソ連」:正式には「ソビエト社会主義共和国連邦」。ロ シア革命後の1922 年に成立した世界初の社会主義国家。 1991 年に崩壊し、ロシア国連邦などに解体された。

「私が、入った時にはもう全国大会で優勝する強いチームでした」と寺山さん。中学時代に近畿大会優勝。高校2年生の時にスカウトされ卒業と同時に「日紡貝塚」(以下「日紡」)に入社。しかし、さすがに強豪チーム。華々しい実績を持った彼女でも約2年間は控えに回ったそう。しかし「試合に出られなくても球拾いで頑張る」と決して挫けなかったと振り返ります。 1957年、国内4大タイトルを制覇した「日紡」は次なる目標は世界制覇。当時、日本国内は「9人制バレー」が主流。しかし世界では「6人制」が標準でした。「日紡」は世界で戦うため「6人制」へとシフト。このタイミングで正選手となった寺山さんは「左利きが少なくて、私は重宝がられた。すごくツイていた」といいます。当時「6人制」では、左からの強い攻撃が必要とされていたのです。1960年には全日本代表のメンバーにも選ばれ、日本が誇る「左の大砲」が誕生したのでした。

ホテルと試合会場の往復だけの旅 3大陸制覇。海外遠征 22 戦全勝!

1961年。「日紡」は欧州遠征を行いました。インドネシア、ブラジル、ヨーロッパを転戦。22戦を全勝したといいます。「いろいろな国に行ったけれど、ホテルと試合場の往復だけで、何もわからないの」と寺山さんは笑います。練習後の時間も「体がきつくなる!」と休養を優先させるのが常だったそう。「でも、ポーランドに行った時はどうしてもショパンの生家に行きたくて、見に行かせて欲しいと先生に頼んだ」そう。しかし返ってきたのは「わしが8ミリで撮ってきてやる。あとで観ればいい」という非情な答え。連勝を伸ばしていた時期だったこともあり「先生の言葉は絶対でしたね」と当時を振り返ります。

当時、魔球と恐れられた「変化球サーブ」 の構えを再現してもらいました!

ソ連を破って、世界選手権優勝! 引退するつもりが、一転…。

1962年。連戦連勝の勢いのまま、ソ連で開催された「第4回世界バレーボール選手権大会」に出場。宿敵ソ連を破って世界制覇を果たしました。「魔女」たちの多くは、この優勝を機に引退する予定だったといいます。「MVPをもらったし、私はすっかり引退するつもりでしたよ」と寺山さん。 しかし、バレーボールが東京五輪で正式種目になることが決まり、帰国した日本は大フィーバー。周囲からの「オリンピックも!」という声は大きくなる一方だったそう。
「辞める」「辞めない」について、何度も話し合いました。「最終的に、オリンピックまでやることになったのは、一番年上の河西さんの『あと2年、みんなで協力すればできる』というひと言でした。

東京五輪「金メダル」獲得! 今度こそ引退。そしてお見合い

東京オリンピックでの活躍は皆さん知っての通り。ソ連を下し金メダルを獲得。寺山さんは、惜しまれつつ現役を引退しました。その直後「大松先生のお世話で、お見合いをした」といいます。「今の人には笑われちゃうと思いますが、5回目に会ったのが結婚式当日でした」と微笑みます。
結婚後しばらくは大阪。そして2年目になった頃、ご主人の実家のある日立市に転居。家業である工場を手伝うことになりました。「私も品物を納めに、色々な会社に行きました」と寺山さん。そんな時「もしかして『日紡』の宮本さんけ?」と声をかけられることもあったとか。しかし「自分から金メダル持ってますなんていうものじゃない」と、メダルの事などすっかり忘れて充実した日々を送っていたといいます。

オリンピック優勝後、宿舎にしていた旅館 での写真。何と、仲居さんに金メダルをかけ てあげている!微笑ましい1枚です。(写真:寺山さん所蔵)

ママさんバレーを熱血指導 私が教わったことをみんなに!

「バレーを通じて知合った仲間 は家族」寺山さんはそう考えて いるといいます。

日立で生活を始めてしばらくたち「バレーとは縁が切れたかな…」と思っていた頃。「週に一回バレーボールの指導をお願いしたい」と高萩市役所から声がかかりました。寺山さんはママさんバレーのコーチを引き受けることになりました。「いざ始まると力が入って」と彼女。「気がつくと、自分たちが大松先生に教わったことをそのまま指導していた」といいます。「悪いプレイを注意した後に『でもあれは良かった』と別のプレイを褒めたり。練習中も徹底した『私のミスは私のミス。あなたのミスも私のミス』の精神」これも鬼の大松直伝の「やる気にさせる」指導法だといいます。 約10年かかわったママさんチームは、全国大会に出場するほどの強豪に成長。「今でも、当時のメンバーが年に一度は集まって、仲良くわいわい過ごします」と寺山さん。大変楽しみな時間だそう。バレーの指導や講演などをおこなう一方で「体育協会」の監事として4年間。「日立市教育委員会」の委員として8年間。地元、日立の青少年育成などにかかわったといいます。市内の小・中学校の卒業式などにも参加しました。 また、選手時代に数々の体育施設でプレイした経験を見込まれ、現在建設中の体育館に対する提案なども求められたとも。茨城県に居を移して約50年。市のスポーツ振興や文化事業にも大きく貢献してくれている寺山さんなのです。

もちろん、地元開催はプレッシャー 。でも若い人たちに頑張って欲しい!

およそ1カ月後に迫った「リオ五輪」について話を振ると「伸び盛りの若い人にどんどんチャンスをあげて欲しい。結果を残して、次の東京につなげてもらえれば」と寺山さん。「決まった時は本当によかったと思った」としながらも「地元開催はプレッシャーも大きいから、選手は苦しいと思います。でも後々、いい大会だったと言われるようになって欲しい」と力を込めます。この夏そして4年後の「東京」。日本人選手たちの活躍に大いに期待したいですね。

【東洋の魔女・ 寺山恵美子さんの軌跡!】

1937年
和歌山県に生まれる。

1956年
高校2年生の時にスカウトされ、高校卒業と同時に当時すでに全国優勝を果たしていた実業団チームの強豪「日紡貝塚」入社。

1960~1961年
海外遠征アフリカを除く3大陸を駆け巡る。インドネシア、ブラジル、ヨーロッパにて転戦。22戦全勝

1962年
モスクワで行われた「世界選手権」優勝 最高殊勲選手賞(MVP)受賞

1964年
東京オリンピック優勝 金メダル獲得!中国遠征後引退大松監督の勧めで、東京オリンピックバスケット強化コーチだった寺山徹氏とお見合い。

1965年
結婚。

1967年
新婚生活を過ごした大阪府豊中市から、夫の実家のある茨城県日立市に移住。家業に従事するかたわら、茨城県内のママさんバレーチームなどを指導。

2001年
「東洋の魔女」が、国際バレーボール連盟から「20世紀Best Women’sTeam賞」を受賞。

1999年~2008年
「日立市教育委員会」委員2期(8年間)。「日立体育協会」の監事として1期(4年間)活動。青少年育成などにかかわる。

【取材協力】公益財団法人 日立体育協会

https://www.hasa.or.jp/

【住所】茨城県日立市東成沢町2-15-1
日立市市民運動公園陸上競技場内
【TEL】0294-36-6661

日立市で行われるスポーツイベント情報や、スポーツ教室の情報などを発信。スポーツ施設などの維持・管理を行う。

● 7月のイベント ●
7/2  第20回日立市民グラウンドゴルフ大会
7/2  第27回 日立市民お楽しみダンススポーツ大会
7/3~ 第35回 日立市民ダブルステニス大会
7/9  第9回日立市ユニカール大会
7/16 第70回日立市市民陸上大会兼第3回日立記録会
7/18 第28回 日立市民クレー射撃大会

※イベントの詳細についてはホームページで確認を!

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