茨城県南エリアで活躍する女性アーティスト
木を焦がして絵や文字を描くウッドバーニング
芸術の秋、到来!そこで今回は茨城県南エリアで活躍する女性アーティストをピックアップ。木を焦がし描く、つくば市在住のウッドバーニングアート作家・翔さんをご紹介します。
(※内容は2017年9月29日時点のものです)
翔さんのプロフィール
ウッドバーニング作家 翔
1983年熊本県生まれ、茨城県つくば市在住。筑波大学芸術専門学群洋画コース卒業。
2010年に独学でウッドバーニングの創作活動を始める。木工作家とのコラボレーションや古建具を使った作品制作、イベントや個展などで活動中。
翔さんのHPはコチラ
翔さんの作品や活動についてはホームページをチェックしてみて下さいね。
油絵の世界から木を焦がす作品へ転向
同世代が手の届きやすい作品をつくりたい
はんだごてに似た形の電熱ペンで木を焦がしながら、絵や文字を描くウッドバーニング。月日を重ねるごとに、木や焦がした線の風合いの変化も楽しめるアート作品です。
今、注目を集めるつくば市在住のウッドバーニング作家・翔さんが、このアートに出合ったのは2010年。大学で油絵を学び、卒業後も個展等で発表していましたが、「同世代が手の届きやすい作品をつくりたい」とウッドバーニングの技法を用いた表現に転向しました。
「ちょうど木やペン画に興味を抱いていた時期だったこともあり、ネットで偶然見つけたその日の内に機材を購入したんです。いざ試してみると、焦げた木のセピア色や木の風合いがアンティーク作品のような雰囲気も醸し出してくれる。これは面白いぞ!と思ったんです」と翔さん。
翔さんは3児の母。家族が寝静まっている午前4時に起床し、創作をしているのだとか!
使用するのは、2種類の電熱ペン。焦がし加減を調整しながら線の濃淡をつけています
木との対話で生まれた唯一無二の作品
素材を活かしたウッドバーニング
作品に使われる木地は、木の皮がついたままの板や古木、木工作家が手掛けた箱や升、そして骨とう品の建具や欄間。ウッドバーニング作品は木地に鉛筆で下絵を描き、それをなぞって焼き付けていくのが主流の技法です。しかし翔さんは、直線や円以外の下描きはせず、フリーハンドで焼き付けていきます。描かれるモチーフは動植物が多く、木地の形、皮、凹凸、年輪、木目を元に頭の中で構図を決め、描きながら細部のデザインを決めていくのだとか。
「油絵のキャンバスとは違い、ウッドバーニングは素材も含めて一つの作品。例えば、木の皮が残っている楕円形の素材を見た時に、アンモナイトの化石がイメージとして浮かんだり。木目が水紋、風、雲、時には海や砂に見えたり。年輪が音の波紋に見えて、梵鐘を描いたこともあります。古い建具や巨木には、柔らかなタッチの絵では素材に負けてしまうので、日本的なもの、いかつい表情の神々などを描きたくなりますね」
木の活かし方を模索し、素材との対話を重ねることで、世界に一つしかない幻想的な作品が生み出されているのです。
丸太に描かれた雷神。木が持つ力強さ、生命力を更に引き出した圧巻の作品
ダイレクトな反応が喜び 大作の制作へ意欲
素材は杉、檜、桐をメインに使用。クスノキ、桑、桜など、様々な木地を模索中です。
ウッドバーニングを施した桐箱。アクセサリーや手紙、大切な宝物をしまいたいですね。
現在、県内のイベント、都内や地元の熊本での個展等で精力的に活動を続ける翔さん。「会場で実演もするのですが、名前を入れるだけで喜んで貰える。手に取ってくれる方の反応が直接見られるのが嬉しいですね。機械が一台あればできるアートなので、私を通じて、多くの方にウッドバーニングを知っていただき、共に楽しんで貰いたいです」
今後は大きな板や巨木のありのままの姿を活かし、化石などをモチーフにした大作に取り掛かる予定とのこと。翔さんの次回作にもますます目が離せませんね!
みなさんも、今年の秋はウッドバーニングアートの世界に触れてみてはいかがでしょうか?
翔さんの作品に出会える場所
皆さんの身近な場所で手に取ることができます!
■Cloud Nine
住所:つくば市大角豆945
TEL:029-898-9019
定休日:木曜日
☆詳しいお店情報はこちら
■駒村清明堂
住所:石岡市小幡1899
TEL:0299-42-2819
定休日:日曜日
☆詳しいお店情報はこちら
■翔さんが参加予定の県内イベント
10月28日:つくば市北条 矢中の杜「筑波山麓秋祭り」
11月4日:土浦市中央 第二回「つちうら亀の市」
今回は、つくば市内にあるカフェギャラリー「Cloud Nine」さんでインタビューをお願いしました。
Cloud Nineの店内。作家さんの作品も取り扱っています。
フォトギャラリー&取材時のエピソード
とってもチャーミングな翔さん。今回の取材は、地元・熊本での個展を成功させつくばに戻ってきた直後でした。インタビューやポートレートの撮影にも、大変気さくに協力してくださり順調に取材は終了!
「木の素材」であれば形を問わず施せるウッドバーニング。右のひょうたんランプはクラウドナイン所蔵(非売品)です。皮の薄いひょうたんでないとうまく光が透けないそうで、素材とアートが見事に調和した逸品。
取材中にスタッフが目を惹かれたのが、翔さんの耳元で揺れる素敵なピアス。こちらも、以前制作されたご自身の作品です。ちなみに、翔さんの作品は行方市のふるさと納税返礼品にも選ばれています。
取材場所としてお借りしたのは、つくば市大角豆のクラウドナイン・二階のギャラリースペース。カフェ隣「蔵子屋」では、翔さんのウッドバーニング教室も開講しています。講座については、翔さんのホームページにて。