「いつでも夢を」など大ヒット曲を世に送り出した鹿島町出身の作曲家・吉田正。かつて"昭和歌謡の巨星"と称された日立が誇る天才作曲家です。没後17年経った今でも、吉田の曲は色褪せることなく輝きを放ち、世代を越えて愛され続けているのです。

昭和歌謡の黄金時代を築いた日本音楽界の巨匠

数々の名曲を手掛けた吉田正。作曲に没頭して台風で家の屋根が飛んでも気付かなかったという逸話も。

吉田正は大正10年生まれ、多賀郡高鈴村助川(現日立市鹿島町一丁目)出身。実家はクリーニング店を営み、幼少の頃から様々な音楽や楽器に親しんでいました。日立工業専修学校卒業後はボイラーや暖房設備の据付工事を請け負う会社に就職。その間、音楽とは全く関係のない、サラリーマン生活を送ります。そして間もなく太平洋戦争が勃発。徴兵され、水戸陸軍歩兵第二連隊に入隊します。そして約3年の間、シベリアで過酷な抑留生活を強いられることに。しかし満身創痍の最中、数十曲を書き下ろし、仲間の兵士と共に歌い合ったことが、吉田の運命を大きく変えていきます。

きっかけは昭和23年のNHKラジオ「のど自慢」。作者不明の曲「異国の丘」がシベリアから帰還した兵士によって歌われ、全国的に有名な歌となりました。実はこの曲、吉田が作曲した「昨日も今日も」。シベリア抑留中、兵士達の間で歌われ、自然と広がりをみせていた曲のひとつでした。吉田が同年、舞鶴港で復員するよりも前に、自身の曲が祖国に戻り、お茶の間で親しまれていたのです。作曲者不詳で発売され、作者探しに奔走していたNHKに吉田が名乗り出ると、その後にビクターレコードから再発売。デビュー作はたちまち大ヒット曲となりました。戦後日本の歌謡界に彗星のごとく現れた吉田は、こうして音楽家の道を歩み始めたのです。

日本ビクター専属の作曲家となった吉田は、その類まれなる才能をいかんなく発揮。三浦洸一、鶴田浩二、橋幸夫、吉永小百合、フランク永井、三田明、松尾和子など、日本歌謡の黎明期を支えた名歌手達に楽曲を提供。昭和35年には「誰よりも君を愛す」、その2年後は「いつでも夢を」で日本レコード大賞に輝くなど、昭和歌謡の黄金時代を築き、数々の名立たる芸術賞を受賞しました。平成10年6月に逝去するまでの生涯作曲数は、なんと約2400曲。生前の多大なる功績が認められ、没後の平成10年7月に国民栄誉賞を受賞。同年12月に日立市名誉市民として顕彰された日本音楽界の巨匠です。

数多のヒットを生み出した吉田の曲は、現在もドラマやCMで起用される機会も多数。幅広い世代の琴線に触れる吉田メロディーは、戦後復興から今日に至るまで、時代を越えて親しまれています。また、大甕駅から十王駅までの日立市内JR常磐線各駅の発車メロディーは、全て吉田が手掛けた名曲です。日立市民ならばきっと誰もが一度は、吉田メロディーを耳にしたことがあるに違いありません。吉田正は今でもなお、音楽の力で人々の心を癒やし、支え、励まし続けているのです。

企画展、展望カフェ、スタジオ 魅力が盛りだくさんの施設

館内2~4階の吹き抜けには、吉田が作曲を手掛けた690枚のレコードジャケットが飾られています。

平成16年4月に吉田正音楽記念館が華々しくオープンしてから早12年目。これまで、関東地方を中心に約91万人が来場し、今や日立市を代表する人気の観光名所となりました。特に、青春時代を吉田メロディーと共に過ごした60~70代には、「懐かしい」「元気を貰えた」と大好評。館内に絶えず流れる珠玉の名作を一緒に口ずさんだり、何度も足繁く通うリピーターも多いのだとか。

日本を代表する建築家・内井昭蔵さんの遺作となったこの施設は、音楽の塔をイメージしたと言われています。最上階にあるのは、日立の海や山がパノラマに広がる展望カフェ。オリジナルの焼きサンドなどのこだわりのメニューがラインナップされ、地元の人々の定番スポットにもなっています。毎月第4土曜に開催されるコンサートや不定期の歌声喫茶など、様々なジャンルの音楽ファンが集う場としても大活躍。1階のスタジオ、屋外ステージは手頃な価格で一般の方々も専用利用が可能。年配者の方々だけでなく、音楽を志す地元の若者達にも開かれた施設を目指しています。吉田に縁のある音楽家の企画展もあり、現在はその門下生で、昭和歌謡の一時代を築き上げた橋幸夫名誉館長の「芸能生活五十五周年 吉田メロディーと歩む 橋幸夫展」が12月中旬まで開催中です。

吉田メロディーに浸ったり、奏でたり、学んだり、または新たな音楽に出合う場として、様々な魅力を兼ね備えた吉田正音楽記念館。この秋、再び足を運んでみてはいかがでしょうか?

施設紹介

  • ヒット賞を受賞した214曲が管内で聴けるミュージックプレーヤーを200円で貸出中。ミュージアムショップはお土産にピッタリなオリジナルグッズも。
  • 都会調歌謡曲を開拓した1950年代の軌跡と作品を展示するコーナー。吉田の生涯を映像で紹介。屋外ステージでは年に数回コンサートが開かれます。
  • 1960年代の歩みと作品を展示。実際に使用していたピアノ、作曲をしていた机などで居間の一角を再現。門下生が語るエピソードやヒット曲の視聴も。
  • 1970年以降の足跡と作品を辿るスペース。パソコンで簡単に作曲を体験できるコーナーはお子様にも人気!曲は楽譜に印刷したり、CDの作成もOK(200円)
  • 展望カフェは「焼きサンドセット」(ドリンク付670円)、「いつでも夢をセット」(饅頭+ドリンク付510円)がオススメ!景観やコンサートも楽しめます。

吉田正音楽記念館

開館時間 記念館 10:00~18:00
(展望カフェは21:00まで)
入館料 無料
〒317-0055 茨城県日立市宮田町5-2-25
Tel:0294-21-1125 / FAX:0294-21-0821
http://www.yoshidatadashiongakukinenkan.org/

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