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祖父とはじめたモータースポーツ

おっとりとした優しい笑顔が印象的な、どこにでもいる普通の女の子。そんな彼女は、週末になると鮮やかにカラーリングされたヘルメットを被り、レーシングカーに乗り込むレーシングドライバー。F1を頂点とするフォーミュラレースの世界で日本一、いや世界一を目指して奮闘しているのが、日立市諏訪町に暮らす牛井渕琴夏さん。彼女が今回の主役です。

今17歳の彼女がモータースポーツと出会ったのは、祖父が連れて行ってくれた子供専用のゴーカートがきっかけでした。小学校１年生だった彼女とクルマの出会いは「とにかく楽しかったことを覚えています！」という言葉の通り、好意的なものでした。毎月、毎週のようにサーキットへ通い、腕を上げて行った牛井渕さん。運転する車両も、いつしかゴーカートからレーシングカートへ。自分のレベルがどれ程なのかを確認するためレースに参戦。小学校6年生になって、いままで通った土浦のサーキットから、より本格的な千葉のサーキットへと舞台を移します。多賀中2年のとき、激戦で知られる新東京サーキットカップで女性初となるシリーズチャンピオンを獲得。この快挙を受け、満を持して全日本カート選手権にステップアップを果たしました。

この間、牛井渕さんをずっとそばで支え続けたのは祖父の由紀夫さんでした。彼女の参加するレースには全て付き添い、車両のメンテナンスも担当。「若くって、優しくて大好きです」と祖父のことを話す一方、「怒ると凄く怖いんです！」とも語る牛井渕さん。ここまでの輝かしい成績は、祖父・由紀夫さんと二人三脚で築き上げてきたものでした。

そんな牛井渕さんに最大の転機がやってきたのは、全日本カート選手権に参戦中のこと。当時所属していたREONレーシングの推薦で、青少年少女モータースポーツ振興会代表理事を務める野田英樹氏も協力する「南青山プロジェクト」のドライバーオーディションへと参加することになったのです。

目指すのは女性最速 男性にも負けないレーサー

全日本カート選手権で特別な成績を残すなど、大きな実績がないとなかなかステップアップが難しいFIA-F4選手権。今年4月、彼女はその狭き門を実力でこじ開けます。1台の車両をレースごとに２名で交互に乗るという変則的な体制にはなってしまったものの、全国からほんのひと握りのドライバーしか乗ることの許されないこのシートを獲得しました。

すると、翌月にはFIA-F4第3戦・第4戦へ休む間もなく参戦。まだ彼女は17歳。当然、自動車の運転免許も持っていません。つまりクラッチ操作もほぼ未体験。レーシングカーもスタートのときだけはクラッチ操作が必要となります。木曜日からサーキット入りし、どきどきの本番。トップから2秒近く遅れた35位でしたが、走り込みの量から考えてもこれは賞賛に値する結果でした。レースでは第3戦は完走が目標の中、順位を上げて27位。翌日の第４戦では自身の予選タイムを上回るタイムを連発し、23位でチェッカーを受けました。

現在、水戸パーソナルフィットネス・スタジオＫの支援を受け、日々トレーニングに明け暮れる毎日。現在の目標は次なるステップF3選手権への参戦です。いま前座を務めているスーパーGT選手権にも参戦してみたいとも話します。そして、世界最速の女性ドライバーを目指しています。次戦、彼女が参加するレースは鈴鹿サーキットで開催される大会。最終戦もてぎにも出場できるようトレーニングを続けています。この夏は大好きな河原子海岸へ行くのも我慢し、レースの世界へ没頭中です。是非、彼女を応援してあげてください。